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そしてその夜。三人で焚き火を囲みながら夕食を摂っていると。
「A、オーラが乱れてるぞ。」
「…あ。ありがとうございます。」
師匠が作ってくれたお味噌汁を一口飲んでから気合を入れ直し、オーラを修正する。
ちらりと横目で見たクラピカのオーラは一糸乱れていなかったから、師匠の言う通り、彼はすごい資質を持っているのだろう。…私も、どうにかして追いつかなくっちゃ。ヒソカに認めてもらう為にも。
どうやら自分でも気づかない内に表情が固くなっていたらしい。ぶっきらぼうに師匠が「…ま、気楽に頑張れよ。」と言ってくれた。
肩の力を抜いて再度お味噌汁を飲む。
…さっきは気張っていたせいで分からなかったけど、柔らかな味がした。
「ちなみにお前ら、今日から就寝は交替制な。寝てる奴の纏が解けたら片方が起こせ。これが出来る様になったら、次の段階に進むぞ。」
さらりとハードな修行法を口にする師匠。ともすれば、今日は一日眠れないかもしれない。それだけ言うと師匠は"火の処理は頼んだぞ"と立ち上がった。
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「…クラピカ。クラピカ、起きて。」
怪我させないように気を付けながら、クラピカの肩を揺さぶる。師匠に従い、1時間交替で就寝することになったのだ。
先にクラピカが寝ることに決まって、私は横で纏が途切れないか見ていたのだけれど、これがかなり難しい。クラピカを起こすのは、就寝を始めてから三回目ぐらい。
眠りが深くなってしまうと、どうしても纏が解けてしまう。
「すまないな。三度目か…。」
「初日だもん、まだこれからだよ。」
"さ、もう一回頑張ろう"と私が笑って言うと、素直に目を閉じるクラピカ。さらさらと金髪が揺れていて、不思議な美しさを放っていた。
今日1日の疲労が溜まっていたみたいで、彼はすぐ寝息を立て始めた。他者に見守られているこの状況で眠るなんて、普段の状態なら難しいだろう。クラピカの睡眠の邪魔にならないよう、独り静かに取り留めもなく考える。
…私の髪もふわりと揺れた。伸びてきてる、最後に切ったのは何時だっけ。
ヒソカにあの組織から逃がしてもらってからは、まさに激動の日々で、身の回りに気を配る余裕なんてなかった。私ももっと成長して、ヨークシンに行かなきゃ。
月光が、私の行く末を見守るように静かだった。
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おじいちゃんパンチ - このお話くっそ好きやばい気長に更新お待ちしております。 (3月8日 20時) (レス) id: 8e40b31507 (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - まだご不便な思いをされているかとは思いますが、寒さも厳しい季節ですのでどうかご自愛くださいませ。今後も更新を楽しみにお待ちしております…! (1月13日 16時) (レス) id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
温故知新(プロフ) - なぎテラスさん» ご返信も更新も本当にありがとうございます…!😭 ご親族様が無事に避難されましたこと、そしてなぎテラスさんのお気持ちや生活が少しでも落ち着いたとのことで、本当に安心致しました。→ (1月13日 16時) (レス) @page16 id: a95c51921b (このIDを非表示/違反報告)
なぎテラス(プロフ) - また日常に戻れるのがいつになるかは分かりませんが、一日一日を大切に過ごしながら、空いた時間があったらこちらの作品も進めていこうと思っております。温故知新さんのコメント、本当に励みになりました!重ねてお礼申し上げます。 (1月12日 19時) (レス) id: 489c1c6afd (このIDを非表示/違反報告)
なぎテラス(プロフ) - 温故知新さん» 返信遅くなってしまって申し訳ありません。温かいお言葉とお気遣い、本当にありがとうございます。心の底から嬉しいです…!今日親族が都市部へ避難出来ましたので、気持ちも忙しさも以前より落ち着きました。 (1月12日 19時) (レス) id: 489c1c6afd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なぎテラス | 作成日時:2023年1月30日 11時