検索窓
今日:8 hit、昨日:18 hit、合計:67,604 hit

**** ページ15

A「本当に、ごめんなさい…」

隊2「何で謝るんですか」

隊1「そうですよ!
俺たちは最後の最期に、組長と共に戦えた。
それだけで充分です」

隊3「そろそろ限界のようだ。
どうか正気があるうちに送ってください。
狂った羅刹になってから、俺たちは逝きたくないですから」




私の涙腺は完全に崩壊している。

頬に伝う涙が
止まる事を知らずに流れていく。

腰に差した刀を引き抜き、
もう一度頭を下げて謝った。




A「どうか、私を恨んでください」

隊1「恨みませんよ」

隊2「そうですよ。ほら、泣かないで」

隊3「最期に、笑ってください」




私に笑えなんて、皆さんは酷いです。

それでも、それが皆さんの願いなら。


私は、あなた方の為に笑いましょう…。




A「あなた方の事は、決して忘れません。
本当に、ありがとうございました!」




そう言った後、
隊士さんたちに向けて刀を振り上げた。

だが、その刀を振り下ろす事は叶わない。


私の手を止めたのは、斎藤さんだった。




斎藤「そのような震える手で人は斬れん。
俺が送ってやろう」

隊1「お願いします」

斎藤「あちらで皆、平穏に暮らせ」

隊2「組長、お世話になりました」

隊3「今まで、ありがとうございました」




最後の言葉を聞き、
斎藤さんは迷いなく的確に、
隊士さんたちの急所を突いた。

隊士さんたちは静かに後ろに倒れ、
そして、動かなくなった。


隊士さんたちの死に顔は安らかな笑顔だ。

もう動かない隊士さんたちに歩み寄り、手を握る。

まだ温もりが残っているけれど、
それは急速に冷たくなっていく。

その手を握りながら、
私は恥ずかし気もなく大声で泣いた。


守ってあげられなくて、ごめんなさい。
巻き込んでしまって、ごめんなさい。


そして、私に楽しい日々をくれて、
ありがとうございます。

いつか私がそちらへ行った時には、
またお話を聞いてください。

きっと長く待たせてしまうでしょうが、
たくさんのお土産話を持って行きますからね。


ひとしきり泣き、嗚咽が静かになり始めた頃、
私の肩に暖かい手が乗った。




斎藤「そろそろ行くぞ。
仙台に向かうのだろう?」

A「……はい」




そして隊士さんたちの骸に背中を向けて、
白河城を後にした。

隊士さんたちへの最後の願いはただ一つ。

どうか安らかに…。

あちらではのんびりと、
戦いのない世界で生きてくださいね。


ありがとうございました。

……さようなら…。

132:傍観→←****



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
52人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 ,
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

斎藤ようこちゃん(プロフ) - 何度も読み返して読んでます。斎藤さんとの恋仲で幸せです。涙が流れてます。 (2020年5月26日 21時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 朔さん» コメント&一気読みありがとうございます!風間の言葉遣いがなかなかに難しく、上手く表現出来ているのか不安でしたが、可愛いと言ってもらえてうれしいです♪なかなかに私の妄想が激しいものになってしまいますが、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2019年10月4日 9時) (レス) id: 92dfc97012 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメン失礼します!今日この作品を見つけて一気読みしてしまいました!!悲劇が無くて風間がかわいくて()大好きです!!!最近は薄桜鬼の小説を書いてる方も少ないので...(>_<)応援しています(^^ゞがんばってください!!長文失礼いたしましたm(__)m (2019年10月4日 2時) (レス) id: af48bb8f49 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まほろ | 作成日時:2019年10月2日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。