【薄桜鬼】純血を巡る者６ (ページ44)

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１２２：切なる願望ページ44

A「と、まあ、こんな感じです」

土方「また、近藤さんが道場を…？」

藤堂「それいいじゃん！俺、通いたい！」

A「それもいいですね。
皆さんで支えてあげてください」

私の話を聞き終わると、
皆さんは嬉しそうに声を上げた。

あ、すっかり忘れてた…。
これは重要な事だったんだ…。

A「近藤さんの名前ですが、
"近藤勇"は、もうこの世にはいません。
そうなると、その苗字は使えないでしょう。
ですので、私から雪村の姓を与えます。
今度からそれを名乗ってください」

近藤「いいのか…？」

A「はい！雪村と名乗れば
鬼たちはそれだけで警戒を解きます。
鬼と人との架け橋をするのであれば、
とても都合がいいと思います」

近藤「……ありがとう。
君には世話になりぱなしだな」

A「さて、話も終わりましたし、
今日は皆さんでお好きなように過ごしてください。
戦いの合間の息抜きです」

席を立ち、空気を吸おうと外に出た。

晴れ渡った空の下、
私たち雪村の村の復興が進んでいる。

いつかここに戻ってくるんだ。
その時には、近藤さんと井上さんがいるんだな…。

A「フフッ、楽しみだな」

千鶴「A、ありがとう」

中から姉様が出てきて、そう言った。

近藤さんたちと話をしなくていいのかと聞くと、
皆さんたちで話をした方がいいだろうからと出て来たみたい。

千鶴「近藤さんたちとは、
もう会えないと思っていたから…。
近藤さんたちが生きていて、
また会う事ができた事がすっごく嬉しかったんだ」

A「言ったでしょ？
私は、絶対に皆を守るって。
その言葉を実行しただけだよ」

そう言って、もう一度空を見上げた。

雲が流れ動く空。

あの雲のように、
私たちの時間も命も流れていく。

それならその時間を、
命をもっと大切に使って欲しいんだ…。

中で皆さんが話をしているだろう食事処へ目線を向け、
そして姉様に考えている事を話した。

千鶴「それ、すっごくいい！」

A「姉様も、いつか全部が終わったら、
戻ってきてくれる？」

千鶴「……うん。
私は絶対に、ここへ戻ってくる」

A「ありがとう」

今は皆バラバラになっちゃってるけど、
いつか元に戻れる日が来るといいな。

それが、私の願望だよ…。