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117:宇都宮城<雪村千鶴> ページ31

―――――回想―――――


土方さんは一人江戸に残り、
近藤さんの助命嘆願の為、
寝る間を惜しんで幕臣の方々の所を走り回っていた。

だが旧幕府側は新政府を刺激したくないらしく、
土方さんの願いは聞き入れられなかったようだ。

私は島田さんと一緒に、
一足先に宇都宮を目指していたのだけれど、
土方さんが私たちと合流したのは五日後の事だった。


それから宇都宮城を
新政府軍に押さえられてしまったと聞いていた私たちは、
宇都宮城を落とす事を決意する。

だが、それが土方さんの命運を分ける事になろうとは、
この時の私たちは知る由もなかったんだ。


宇都宮城での戦火は激しく、
新政府軍の使う武器は基本は銃。

戦場は銃弾の雨嵐…。

それに幕軍兵の足が竦み、
なかなか中へ踏み入ろうとはしない。

その様子を見て、
土方さんは痺れを切らして走り出した。




千鶴「土方さん!無茶です!」

土方「無茶なんて百も承知だ!
だがな、ここで引くわけにはいかねえんだよ!」




最前線に飛び込んだ土方さんは、
まるで鬼人のような動きで、
次々と敵兵に斬りかかっていく。

それはとても人間とは思えない動きだった。


だけど…。




土方「ぐっ…」




降り注ぐ銃弾に勝てるはずもなく、
土方さんはその場で倒れた…。

そんな光景を、
ただただ見ている事しか出来ない…。


どうしたらいい…?
土方さんを助けたいのに…。

私には、動く足すらないの…?


そんな時だった。




??「全く。土方さんは無茶しかしないよね」




真後ろから聞こえた声に振り向くが、
既にその人はいなくて…。

気付けば倒れている土方さんの前に、
盾になるかのように立つ沖田さんの姿があった。




土方「てめえ、何しに、きた…」

沖田「あれ?
僕は土方さんを助けようと思ったんですけど、
必要ないですか?」




土方さんの前に出た沖田さんは、
銃弾を受けても怯む事なく、
目の前の敵を斬り捨てていく。

あらかた目の前にいた敵たちの始末が終わると、
沖田さんは土方さんの肩を担ぎ、
私の元へ連れて来てくれた。




沖田「生身の体で銃弾なんて受けたら、
死んじゃいますよ?」

土方「お前こそ、いくら鬼でも…」

沖田「僕は土方さんと違って、
傷はすぐに治っちゃいますからね。
それより千鶴ちゃん、早く手当を!
本当に尽きちゃうから」




戦火から少し離れた場所で、
土方さんの手当てをし始めたのだけれど、
どうにも血が止まらない。

****→←116:集合



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 素敵だよ。涙が流れます (2020年5月24日 23時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月26日 17時

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