【薄桜鬼】純血を巡る者６ (ページ3)

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近藤さんたちがいるはずの陣が
見えて来た頃、

私たちは目を疑った。

沖田さんの制止も聞かず、
近藤さんが戦場へ駆けて行ったのだ。

藤堂「ちょ！あれは駄目だって！」

A「私は近藤さんの前へ出ます！
後ろは沖田さんたちが追ってますから、
皆さんで挟んで止めましょう！」

藤堂「分かった！」

走る足の速度を速め、
近くにあった木に飛び乗った。

その木を足蹴にして、
近藤さんに向かって飛ぶ。

近藤さんが向かう先には銃を持った兵士と、
その奥には大砲があった。

あれは、撃とうとしてる！

その場の直感で、持っていた銃を構えた。

ヴァン！ヴァンヴァン！

撃った銃の音を聞いたからなのか、
近藤さんの足が止まった。

その隙に近藤さんの前に立ちはだかる。

A「あなたは、何をしているんですか！
死ぬ気ですか？！」

近藤「俺は…」

A「ちゃんと周りを見てください！
威勢だけで戦は出来ないんですよ！
私と平助君が、ここへ戻ってくるまでの間に見ました。
何人も、死ななくていい人が死んでいます！
あなたは、それでいいんですか？！」

藤堂「危ない！」

私たちに向かって放たれた発砲音。

そんなもの、私には効かない。

振り向きざまに大通連を引き抜き、
その弾をはじき返した。

そして銃隊に向かって発砲すれば、
相手側は大人しくなった。

近藤「A君…。俺は…」

A「撤退しましょう？」

原田「近藤さん、撤退は負けじゃねえ。
一度引いて、仕切り直せばいいじゃねえか」

近藤「……分かった。撤退しよう」

やっと、近藤さんの覚悟が決まった。

遅いよ、近藤さん…。

立ち上がり、
元来た道へと走る近藤さんの後ろ姿を、
ただただ見ていた。

こんな戦場で立ち止まるというのは
駄目だって分かっているのに…。

私の足は動かなかった。

藤堂「A？」

千鶴「何してるの！？早く！」

戦の恐怖に打ち勝てず発砲してしまい、
開戦の海図を起こしてしまった隊士さん。

死ななくていい場所で死んでしまった隊士さんたち。

私は、守れなかった…。

守るって決めたのに、
守れなかったんだ…。

A「私は、非力だな…」

銃声が鳴り響く戦場の中、
私の言葉はかき消された。