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2章 4-1 ページ14

No side


「幸い、この現象の元凶と思われる異能者の居場所は特定しています」


武装探偵社の社長室で、画面の向こうの坂口安吾が端的に告げた。



画像が切り替わり、ヨコハマの衛星写真になった。



霧の中心を赤い光点が示した。



「ヨコハマ租界のほぼ中心地、骸砦と呼ばれる、廃棄された高層建築物です」


安吾の説明にあわせて、画面に不気味な形をした漆黒の塔が映し出される。



幾つもの尖塔を備え付けた姿は、精緻すぎる彫刻のせいか、どこか禍々しさを感じさせた。



「やはり、例の澁澤龍彦ですか?」


画面を見ていた国木田が問いかけた。


それを聞いた敦の顔が少しだけ強ばる。



「…貴方がた探偵社に重要な任務を依頼します」


画面には既に骸砦ではなく、安吾の姿が映っていた。



「首謀者である澁澤龍彦を排除してください。方法は問いません」


安吾の言葉に鏡花が目を細め、何かを諒解したように鋭い眼差しで頷いた。



「それと」


淡々と安吾が云う。



「これは補足ですが、その首謀者と同じ場所に、どうやら太宰君とAさんがいるようです」


「太宰と、Aが?」


厭な予感がしたのか国木田がぴくりと片眉を上げる。



「お二人とも捕まってるってことですか?」



敦が安吾と国木田の会話に口を挟む。


その言葉を受けて、安吾の顔に、なぜか初めて動揺が走る。


焦ったように、声を荒らげた。


「このままではヨコハマが全滅します。貴方達だけが──」


プツンと連絡が途切れ、画面にはザザーと砂嵐が走る。




その時、社長室の窓が突然割れた。



「うわぁっっ!!?」



敦は大きく叫んで身を後ろに引いた。


国木田と鏡花も驚きながら身を低く伏せた。




「こ、これは……!!」



割れた窓の直線上、天井には真っ白な針が三つほど突き刺さっていた。



敦はその針を見て顔を青ざめさせた。




「Aさんの……」



「では、あれはAから分離した異能か……」



窓際に近寄り、外を伺う国木田が苦々しく口にした。



敦と鏡花も国木田と同じように窓際に身を寄せて、割れた窓から外を見る。




建物の下、地上には薄紫色の人型の何かが立っていた。


それは敦達がいる階を見上げるように上を向く。


薄紫色に塗りつぶされた顔と目が合ったような錯覚に敦は囚われた。




しかし、人型の何かはすぐに顔を下げて探偵社の建物に背を向け歩き出した。

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jumpcontrolbear(プロフ) - 消しゴムクイーンさん» コメントありがとうございます!!そうだったんですか……ぜひ余裕がありましたらDVDでご覧下さい!終始悶えます(笑) (2018年9月9日 1時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
消しゴムクイーン(プロフ) - こんにちは。DEAD APPLE…私、見れなかったんですよ!見たかった……これからも頑張ってください!! (2018年8月15日 13時) (レス) id: b53efceb36 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - なたさん» コメントありがとうございます!!本編の方も読んでくださってるんですね!ありがとうございます!すごく嬉しいです!更新頑張ります! (2018年5月4日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
なた - このシリーズめっちゃ好きなのでデッドアップル編まで読めて嬉しいです!これからも頑張ってください (2018年5月4日 22時) (レス) id: a61dc9da8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だし丸 | 作成日時:2018年3月23日 18時

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