プロローグ 2 ページ2
A side
榴弾をバイクを使いながら避ける中原くんに感心しながら、目的のビルを探してあちこちに目を向ける。
『…ん?』
自分の居るビルの二つ先のビルの屋上に、ゆらりと立ち上がる仮面の男。
その男は私には気づいていないようで、中原くんを見下ろしていた。
男は手を上げると雷電が夜空を走り、その手が振り下ろされると稲妻が中原くんを襲った。
『雷を操る異能力者、か』
稲妻は地面を陥没させ、土煙を巻き上げる。
『広範囲、高威力、おまけに複数攻撃か』
他人事のように異能分析しながら、中原くんを横目で探す。
もちろん彼がこの程度で殺られるなんて思っていない。
そんな彼はバイクごとビルの壁を上っていた。
『重力操作って何でもありなのかな……』
私がそんな事を云うと同時に、中原くんは私の目の前のビルの屋上に到達した。
休むことなく再びエンジンを噴かせ、突進していった中原くんは先程と同じようにビルの壁面を垂直に上り、仮面の男の居るビルの屋上に着地した。
『……あれ?太宰くんもあそこか』
仮面の男の奥にもう一人の同僚を見つけた。
手首を回しながら異能の準備をする。
『よしッ……』
勢いよく走り出して、ビルの淵を踏み空中に飛び出した。
ビルとビルの間、何もない空中で落ちそうになった足元に掌を向ける。
『異能力【天空の蜂】』
針を出現させ足場代わりにし、踏みつけて飛び上がった。
進んだ先の屋上に着地し、また走り出す。
同じように屋上を飛び出し針を足場にして飛び上がり、仮面の男がいたビルの屋上に辿り着いた。
その瞬間、目の前に眩しい光と爆裂音が響き渡った。
爆風に飛ばされないように地面に手を着いて屈む。
「雷に打たれて死んだら面白かったのに」
「ぶっ殺すぞ」
イヤホンからそんな会話が聞こえてくる。
私の目の先には、お世辞にも高いとはいえない身長の中原くんの背中。
「五分の遅刻だ」
捕まっていた太宰くんは背後にいた監視員を軽やかに蹴り飛ばした。
「あ、Aは遅刻とか無いからね」
いつから私に気づいていたのか、にこりと笑いながら私を見つめる太宰くん。
「中也が遅かったおかげで三発余計に殴られた」
「ついでに俺が殴り殺してやろうか」
不穏な気配を察知して慌てて二人の間に立った。
『まあまあ中原くん、落ち着いてください』
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jumpcontrolbear(プロフ) - 消しゴムクイーンさん» コメントありがとうございます!!そうだったんですか……ぜひ余裕がありましたらDVDでご覧下さい!終始悶えます(笑) (2018年9月9日 1時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
消しゴムクイーン(プロフ) - こんにちは。DEAD APPLE…私、見れなかったんですよ!見たかった……これからも頑張ってください!! (2018年8月15日 13時) (レス) id: b53efceb36 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - なたさん» コメントありがとうございます!!本編の方も読んでくださってるんですね!ありがとうございます!すごく嬉しいです!更新頑張ります! (2018年5月4日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
なた - このシリーズめっちゃ好きなのでデッドアップル編まで読めて嬉しいです!これからも頑張ってください (2018年5月4日 22時) (レス) id: a61dc9da8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だし丸 | 作成日時:2018年3月23日 18時