そして、これからもずっと ページ41
港を離れ、街を歩いていたA。
その足元の影から鼠の形の影が現れる。
〔あの人が待ってるよ〕
『ん、判った。ありがと』
嬉しそうに返すAに、鼠は呆れるように消えていった。
それからAは以前太宰と来た喫茶所に足を運んだ。
中に入りテラス席に向かうと、既にそこには一人先客がいた。
『お待たせしました、太宰さん』
Aは先客に後ろから声を掛ける。
「やァ、待ってたよA」
呼ばれた太宰はくるりと首をAに向け、ニコリと笑っていた。
『……………』
思わずAは笑顔で固まる。
『(なんか……怒ってるなぁ…)』
「とりあえず座りなよ」
促されてAは向かいの席に座った。
店員に注文をして、改めて太宰と目を合わせたA。
相変わらず太宰はニコニコ笑っていた。
『…太宰さん、何に怒ってるんですか？』
困り果てたAは素直に聞いてみる。
太宰は何ら変わらないいつもの口調で話し始めた。
「別に怒っているわけじゃないさ。
ただ私という存在がいながら、早速浮気だなんてAもやるね」
太宰の目が三日月形になる。
『浮気って……中原さんとは依頼で会ってただけですよ……というかコレで判ってたでしょう？』
苦笑するAはコートのポケットに手を突っ込み何かを取り出す。
コレといわれて出されたのは小さな盗聴器だった。
「流石Aだ、気づいていたとはね」
『私が気づかないわけがないじゃないですか』
コトと置かれた盗聴器を見つめながら太宰は口にする。
「君をやっと手に入れたんだ。
蛞蝓の所になんて行かせないよ」
『行くつもりもありませんよ、だって私を独りにしないって云ったのは貴方でしょう？』
太宰に間髪入れずに返ってきたAの言葉に太宰は驚く。
『なんですか、その顔？
まさか私が離れていくとでも？』
太宰の表情にAは眉を寄せる。
「君が私をどう思ってるかたまに不安になるからね」
『……ハァ〜』
Aは深くため息を吐いたかと思うと、突然太宰の胸元を掴んで引き寄せる。
チュッと軽いリップ音がして唇が離れた。
『これ以上の言葉がいりますか？』
顔は至って冷静だが、赤くなっているAの耳を見て優しい笑みを作る太宰。
「いいや、いらないね」
そして二人はまた唇を重ねる。
Aは幸せそうな笑顔を浮かべていた。
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jumpcontrolbear(プロフ) - 螺旋さん» コメントありがとうございます！！そんなに喜んでいただけて私も嬉しい通り越して恥ずかしいです(笑)またいつでも読みに来てください！ (2019年10月17日 0時) (
レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
螺旋 - 初めましてです!めっちゃすんごく感動しました!!なんでこんな良い作品に気付けなかったのだろう…。こんな素晴らしい夢小説を書いて頂きありがとうこざいました!!他作品(?)も頑張ってくださいね！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: db579f6a09 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます！！そんなふうに言って頂けて凄く幸せです！この作品を楽しんで頂けて何よりです！これからも頑張っていきます！！ (2018年10月16日 10時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
あまね - 初めまして、素敵な作品を最後まで書いてくださりありがとうございました! 二次創作でこんなに素敵な作品に出会えるとは思っていませんでした。最後まで飽きない設定、魅力的な主人公、時の流れ方や人の掛け合いがどストライクでした。これからも応援しています!! (2018年10月16日 2時) (レス) id: a12fc59e9a (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - Nightさん» コメントありがとうございます！なんとか完結出来ました！また他の作品も頑張っていきます！ (2018年9月9日 11時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2018年3月23日 15時
