誰も……… ページ24
顔を上げた先には
何も無かった。
『？』
可笑しいな…靴音が聞こえたはずなのに……。
･
ドロリ
言葉にするならそんな音だろうか。
その音がボクの頭の中に響いた。
そして目の前に広がるのは真っ暗な闇。
音も風も空気も感覚も、全てを遮断するような闇。
『______』
自分が発している筈の声さえも聞こえない。
呑まれた………！！
直感でそう感じた。
異能に、呑み込まれた……。
なんでこのタイミングで……。
自分の頬を汗が伝う感触。
ゴクリと唾を飲み込んだ。
視界が黒く染められているため平衡感覚が狂い始めて、立っているの横になっているのかそれとも逆さまになっているのかが判らなくなってくる。
あの時と同じだ。
龍頭抗争で、異能に引き込まれた時と……。
獣！！応えて！！
必死に自らの異能に呼びかける。
それなのに獣はおろか、異能自体が応える素振りがない。
可笑しい、いつもならすぐに何かしらの反応を示すのに……。
それとも、もう完全に異能がボクを引き込んだのか？
つまりボクはもう異能として存在する物体になったろだろうか？
ボクは永遠にこの闇の中に閉じ込められるのだろうか？
混乱する頭に幾つもの考えが思い浮かび上がる。
その時、首元をヒヤリとした感触が襲う。
『ッ！？』
驚いて身を引こうにも、体は全く動かない。
首元の感触は、首を掴まれているように感じる。
まるで相手を殺す時に首を手で締めるような。
「その通り」
不意に耳元で声がした。
「殺すために首に手を回している」
『______』
自分の声は相変わらず耳に届かない。
「非道いな、忘れたの？」
なのにボクの声は首を絞めている相手に届いているようだ。
『_______』
「言っただろ？殺すためって」
口を引き結ぶ。
動いて反撃しなくてはならないのに、体は動かせる気配がない。
その間にも首を絞める手は徐々に力がこもる。
「しょうがないなあ…じゃあ出してあげるよ」
声の主はボクの様子に呆れたような口調で話す。
後ろから風邪か吹き抜けるように、闇が晴れていく。
それはボクの目の前に居た。
「今度こそ殺してやるよ」
ボクと瓜二つの顔。
『お、兄ちゃん……』
彼は目を細めて歪んだ笑顔を浮かべていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 601人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
jumpcontrolbear(プロフ) - 螺旋さん» コメントありがとうございます！！そんなに喜んでいただけて私も嬉しい通り越して恥ずかしいです(笑)またいつでも読みに来てください！ (2019年10月17日 0時) (
レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
螺旋 - 初めましてです!めっちゃすんごく感動しました!!なんでこんな良い作品に気付けなかったのだろう…。こんな素晴らしい夢小説を書いて頂きありがとうこざいました!!他作品(?)も頑張ってくださいね！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: db579f6a09 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます！！そんなふうに言って頂けて凄く幸せです！この作品を楽しんで頂けて何よりです！これからも頑張っていきます！！ (2018年10月16日 10時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
あまね - 初めまして、素敵な作品を最後まで書いてくださりありがとうございました! 二次創作でこんなに素敵な作品に出会えるとは思っていませんでした。最後まで飽きない設定、魅力的な主人公、時の流れ方や人の掛け合いがどストライクでした。これからも応援しています!! (2018年10月16日 2時) (レス) id: a12fc59e9a (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - Nightさん» コメントありがとうございます！なんとか完結出来ました！また他の作品も頑張っていきます！ (2018年9月9日 11時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：だし丸 | 作成日時：2018年3月23日 15時
