検索窓
今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:470,363 hit

31 ページ32

「去ね」


一際大きく三日月が言った。


誰よりも恐ろしい顔をしている三日月に、こんのすけを含め、その場にいたA以外の全員が、押し黙った。


「去ね」


もう一度言う。


こんのすけは、Aを振り返る。


マネキンのように、刀剣男士たちを見つめたまま、一切動いていないA。


こんのすけは、うつむき地面を見つめた。


少し考え、こんのすけは刀剣男士たちに言った。


「皆様の心情、お察しいたします。

しかし、政府として、クロユリ様がこちらの本丸を出ること、離任することは認めることはできません。

本日する予定でした鍛刀は、明日以降にすることにします。

ですから、どうか武器をお納めください」


深々と頭を下げるこんのすけだが、刀剣男士たちは動かない。


「鍛刀が明日以降になろうとなかろうと、俺たちの気持ちは変わらぬ」


こんのすけは顔を上げ、刀剣男士を見る。


もう戻れないのか。


こんのすけは思った。


他の本丸の者たちのように、本来の性格にはもう。


初代から二代目になった時、彼らは人に対して怯えていた。


三代目になった時にはもう、仲間を失った後悔と憎悪で、怯えは恐怖と混ざり合い、自衛の為に、今度は彼らが人を傷つけるようになった。


それを悲しく思い、そうなるまで気づくことができなかった自分に腹が立った。


刀剣男士に背を向け、こんのすけはAの肩へ乗った。


「クロユリ様、離れへ参りましょう。

もう、日も沈みますし、なにより、出陣でお疲れだと思います。

庭の方から行きましょうか」


「……」


Aはうなずき、歩き始めた。


それを、刀剣男子たちは無言で見ていた。

32→←30



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (174 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
602人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

藍央(プロフ) - そうですか、すいません余計でしたね。 (2019年3月4日 12時) (レス) id: 3d1ad82df4 (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 藍央さん» 申し訳ありませんが、キャラクターの性格、話し方等の指摘は受け付けておりません。詳しくは続編に書いてありますが、私も私なりの考えのもと書いています。ご了承お願いいたします (2019年3月3日 23時) (レス) id: 71334657d1 (このIDを非表示/違反報告)
藍央(プロフ) - 江雪や宗三の話し方はわざとですか?仲間の刀剣男士には普通に喋ってもいいと思うのですが… 話はすごく面白いです! (2019年3月3日 21時) (レス) id: 3d1ad82df4 (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 面影草さん» お気遣い、ありがとうございます(^^)私は、気にしないようにしているので、今後、もしまた悲しいコメントがあったとしても、放置してしていただいて構いません。いつも読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m (2019年2月26日 9時) (レス) id: 3090af0f06 (このIDを非表示/違反報告)
面影草(プロフ) - ブラッディ・ドリーマーさん» 返信ありがとうございます。文面がちょっと受け取る側からしたら火に油を注いでるように感じたかもしれません。喧嘩をするつもりはありません。今後、このようなコメントがなくなると良いですね。 (2019年2月26日 9時) (レス) id: 50c6120963 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あき | 作者ホームページ:    
作成日時:2019年2月7日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。