呪30 ページ33
一瞬で解った。
悠仁の肩に触れた瞬間、脳を震わせた低い声。
コレは…特級呪霊なんて比じゃない。
全身に鳥肌がたって足がすくむ。
時間が止まって呼吸が上手くできない。
いるはずがない、あるわけが無いのに後ろを振り返ってしまえばそこに両面宿儺がいる気がして体が動かない。
世界が紅く染まっている。
「 女、こちらを向け。
少し話をしようじゃないか。 」
呪縛からやっと解き放たれたように動けたと思ったらそこはさっきまでいた街中ではなく、領域の中。
ここは…きっと宿儺の領域の中だ。
なら抵抗なんて意味が無い…悔しいけど宿儺の言うことを聞くしかない。
『…』
恐る恐る振り向くと悪魔の頭蓋の山の上で愉快そうにこちらを見下ろす1人の男がいた。
…これが…両面宿儺…呪いの王…。
『…私に、なんの用?』
宿儺「声が震えているな。
なーに、怖がらなくても良い。
お前に危害を加えるつもりは無い」
『呪いの王が時間を止めてまで私に話したかったことって何?今
日はイライラしてるの。
早く帰らせて』
自分の中でどろどろに溶け合っている恐怖、戸惑い、怯えを言葉で隠すように彼に叫ぶ。
こんなの…無理だ。
私がどう足掻こうと勝てる相手じゃない。
宿儺「ふむ、苛立っておるのか…。
ならば手短に話そう」
宿儺がそう呟いた瞬間、
『グハッ…』
体の中に感じたことの無い痛みが走った。
まるで焼いた鉄で串刺しにされたようだ。
『な…っ…何を…っ!』
宿儺「お前はこれまでどのくらい呪力を解放してきた?」
『はっ…今、私に何をし』
宿儺「そんな事は聞いておらぬ。お前は俺の問いにだけ答えよ。余計な口を開くな。」
『…っ、80%は使った…はず…』
宿儺「心の底からそう思っておるのか?」
『当たり…前でしょ、嘘なんて吐かない』
宿儺「ふむ…。やはり、面白いな、お前」
『は?』
やっと痛みが引いてきた体でなんとか応答する。
でも痛い。
体の芯に電気が通ってるみたい…
宿儺「お前はまだ己の呪力の半分も出し切っておらぬ。
何故それを閉じ込めておくのだ?」
『…嘘よ!
これまでの戦ってきた相手でかなり呪力の限界を出した奴もいる!』
宿儺「嘘ではない。そんなくだらぬ嘘をつく理由もないだろう」
『だって…』
宿儺「決めたぞ」
『何を』
宿儺「今日からお前を見ていてやろう。
先日小僧が言っていた観察、とでも言うところだな」
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lotus_r - にしきさん» にしき様。作者です。コメント、ありがとうございます!結局主人公ちゃんはお兄ちゃんを愛するが故にこんなに恨んでしまっているんですよね…続編で二人の関係性も少しずつ変わってくるので、続編もどうぞご愛読よろしくお願いいたします(*´ω`*) (2021年4月4日 13時) (レス) id: dbddb190fe (このIDを非表示/違反報告)
にしき(プロフ) - 闇落ち最高です!!特に恨みを持って暴走する所とか!しかも最強に挑みに行く強さが好きです!続編も頑張ってください! (2021年4月3日 13時) (レス) id: 9dc5342073 (このIDを非表示/違反報告)
hani-R - easy R!!さん» easy R様。コメントありがとうございます。受験応援コメント凄く嬉しい…。ほんとにあと少しなので頑張ってきます! (2021年2月19日 18時) (レス) id: dbddb190fe (このIDを非表示/違反報告)
easy R!!(プロフ) - 受験頑張ってください!!応援してますー! (2021年2月15日 22時) (レス) id: 1f230199f3 (このIDを非表示/違反報告)
hani-R - あまね。様。作者です、コメントありがとうございます!私も闇堕ち大好きなんです!推しになるキャラも敵役が多かったりします笑少しずつ更新していくので是非楽しみにしていただければと思います! (2021年1月31日 19時) (レス) id: dbddb190fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lotus_r | 作成日時:2021年1月6日 15時