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｢皆、待ってるよ？｣
しゃがみ込んでいる彼に声を掛ける
｢うぅ･･･緊張します･･･｣
｢はは、虎杖くんの前だと余計にね。でも、ここにいても始まらないから、ほら立って｣
そう言って、手を差し伸べた
｢は、はい･･･｣
｢良い子だね｣
俺の手を掴んだ彼を引き上げて、立ち上がらせた
｢よし。行こうか｣
頷いたので、彼の手を引いて、教室に入った
｢はーい、お待たせ。今日から、このクラスに入る、吉野 順平くんです｣
隣にいる吉野くんを三人に紹介した
｢･･･先生｣
｢何かな？｣
ふらっと立ち上がった虎杖くんに訊く
｢いくら先生が、幻術が使えるからって、そう言うのホント詰まんねぇんだけど｣
真顔で、こちらを見詰めて来る虎杖くんの殺気は、異常なものだった
｢吉野くん。良ければ、助けてくれない？殺されそう｣
｢え、えっと･･･｣
隣にいる吉野くんに助けを求めたのだが、良い返事は聞けなかった
｢おおっと、危ないねぇ。直すの大変なんだよ？｣
いきなり殴り掛かって来る彼を避ければ、教卓を壊して、床に穴が空いてしまう
｢おい、虎杖!!どうしたんだよ!!｣
｢やめなさいって!!何だって言うのよ!!｣
更に殴ろうとして来る虎杖くんを押さえてくれた伏黒くんと釘崎さんが、彼に訊いている
｢先生でも、やって良い事と悪い事があんだろ｣
｢まぁそれは分かってるけどさ、これは違うって。吉野くん、本当に助けて｣
｢う･･･、えと、虎杖くん･･･｣
怒っていた虎杖くんも、吉野くんが声を掛ければ、ちゃんと話を聞くようで、吉野くんに視線を向けていた
｢その、僕は先生の作った幻じゃないんだ。どうしたら、信じてもらえるかな。･･･そうだ、僕を高専に誘ってくれて、ありがとう。悠仁｣
｢順平･･･｣
吉野くんが虎杖くんの手を握って言えば、虎杖くんの殺気が無くなっていく
｢一件落着かな。そもそも、俺にメリットがないからなぁ。吉野くんを幻で出すメリット。ご本人なら、俺の仕事も減るし、虎杖くんもハッピーみたいな｣
相互利益と言ったところだろう
｢先生、ごめん･･･。でも、俺まだ･･･｣
｢信じられないよね。ま、これからほとんど毎日、顔合わせするから、信じていってよ｣
信じきれていないのは、仕方がない事だ。今の事を乗り切れば、これからの事は、どうにでもなる
｢吉野くんも、頑張ってね｣
｢はい。ありがとうございます｣
良い笑顔で、吉野くんはお礼を言ってたくれた。これなら、頑張った甲斐があると言うものだ
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年1月2日 12時
