48 ページ48
｢じゃあ、やるからね｣
｢お願い｣
目を閉じた虎杖くんに手の平を向ける
｢おやすみ、悠仁くん。また会おうね｣
手の平に力を込めれば、彼は倒れ込んだ
｢宿儺くん、起きても良いよ｣
｢ふん｣
宿儺くんを呼べば、俺の胸元を押して離れた
｢小僧は死んでないぞ｣
｢知ってるよ。ところでさ、宿儺くん｣
｢なんだ｣
｢蠱毒って知ってる？日本にあるゲームで、怪異を暴くものがあって、蠱毒についてにも触れてたんだ｣
俺が話すのを黙って宿儺くんは聞いていた
｢一つの器の中に何匹もの虫を入れて、殺し合いをさせて、最後に生き残った一匹を使って呪いを掛ける。それが蠱毒｣
｢何が言いたい｣
｢まぁ最後まで聞いてよ。その蠱毒を人間でやった奴がいてね。そして、生き残った一人を両面宿儺、そう呼ぶんだって。ゲームの話だけど｣
そう言うと宿儺くんは黙り込んだ。それが事実なのか、ただ単に不快に思っただけなのかは分からなかった
｢話は変わるけど、今から高専に行くんだけど、宿儺くんも行く？｣
｢伏黒 恵に会えるのなら、ついて行く｣
彼は間髪入れず返して来る。どれだけ恵の事が好きなのか、計り知れない
｢会えるよ。恵を殺すのは、宿儺くんに任せる｣
｢どういう風の吹き回しだ。小僧を救えなくて、血迷ったか？｣
｢いや、この世界に救いは無い。世界を壊すんだよ。その為には、生贄が必要なんだ｣
｢その礎に高専の人間を使うとでも言うのか？｣
宿儺くんの質問に頷いて返した。この世界は、誰かの幸せの為に、誰かの幸せを捨てるという行為が日常茶飯時だ
残念ながら、目の前で起こっている悲劇を無視する程、出来た天族では無い
｢宿儺くんにも生贄になってもらうからね｣
｢出来るならな｣
｢出来るよ。じゃあ、行こっか｣
宿儺くんを連れて、久し振りに高専に戻る事にした
｢やぁ、久し振り。全員で迎え入れてくれるとは、思わなかったよ｣
｢よく言いますね。吉野にここに来る事を教えましたよね｣
｢そうだった｣
ここに来る前に、順平くんに一応だけれど、連絡は入れておいたのだが、まさか全員で迎え入れられるとは思わなかった
一年生は勿論、二年生や教職の悟くん、傑くん、建人くんまでもが、俺達を迎え入れていた
｢虎杖はどうしたんですか？｣
｢眠ったよ。さてと、蠱毒をしよう。生き残った一匹が、新しい世界を創る。他は生贄だ｣
｢だ、そうだ。伏黒 恵。遅れるなよ｣
宿儺くんがそう言った瞬間、俺の方に殴り掛かって来た。それに遅れて、あちらこちらから、攻撃が加わった
―
蠱毒(こどく)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空白可能
| 作成日時：2021年1月2日 12時
