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「先生」
木陰で休んでいる時、座っていた虎杖くんが声を掛けて来る
「何かな?」
「俺って、やっぱり怖いんかな。周りの人からしたら」
虎杖くんの質問は、範囲が広すぎて、返答に困る
「別に怖く無いんじゃない?」
「え、」
「だって周りの人間に、虎杖くんの事が分かる訳無い。非呪術師だよ?それに呪術師だって、虎杖くんが怖いんじゃなくて、宿儺くんの事が怖いんだよ」
質問にそう答えてみたものの、納得いくような答えでは無い
「俺からしたら、人間が怖いよ。同じ種族なのに、何故あんなにも、傷付け合う事が出来るのか。不老不死というのも、考えものだ」
「不老不死って、先生の事?」
「その通り。俺達は、不老不死にも近くてね」
死ぬと言えば死ぬけれど、寿命で命を失う事はほとんど無いと言って良い。短命の人間だからこそ、思うところがあるのだろう。争い事が絶えないのは
「じゃ、じゃあさ、先生って、男女の関係ってなったことある?」
「どこから飛躍して来たのかな?その話題」
「気になるじゃん!!不老不死だったら、何人かあんのかなぁって。息子さんとか孫とか」
「俺達の種族は、子を産んだり出来ないんだ。それで兄弟って言う概念も稀なんだ」
天族という種族は、人間で言うところの精霊やテンシ、神様に相当するものだ。その為、俺達は人間とは、全く違う価値観を持っている
「そんな事もあって、人間らしい営みはしなかったかな」
「そっかぁ」
「虎杖くんは、そういうのに憧れる?」
「それりゃ、ね。俺だって、普通に・・・」
普通に普通の生活をしたかっただろうに、とは思ったが、言葉にはしなかった
「あ、そうだ。俺とする?夜の営み」
「はぁ!!?せ、先生と!!?」
「男の子だもんね。気にしなくても、俺達は思い込みで姿を変えられるから、女性にもなれるよ」
「すごっ、あー・・・でも、そういうのするなら、ちゃんとした関係になってからが良い」
虎杖くんは、段階をちゃんと踏むタイプの人間だ。無理矢理や妥協で、そういう関係にはなりたくない、と言うのは分かりきった事だった
「俺的には、虎杖くんのしたい事をしながら、宿儺くんの指を探したいんだけどなぁ」
「あはは、先生、やさしーね」
「そうかな。じゃあさ、やさしー先生の言う事、聞いてよ」
「なん、」
彼の隣に腰掛けて、顔を近付けていく
「えっちょ、ま・・・っ」
固く目を閉じる虎杖くんの額に口付けた
「へあ?」
離れると虎杖くんは間抜けな声を漏らす
「これでも優しいって言える?」
頬を赤く染めている彼に問い掛けた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年1月2日 12時