32 ページ32
｢困ったなぁ。これ以上、虎杖くんの立場を悪くなったら、俺が助けた意味よな｣
意味を求めている訳では無いが、意味が明確にあった方が人に説明するのには簡単である。人が人を助ける事に、理由は要らないとは聞いた事があるが、それでは通じない頭の固い奴、それでは助けられない人がいる
虎杖くんが良い例だ
生きて立場が悪くなってしまっては、元も子もない。人はいつも極論だ。善か悪か、無し有り、二極思考かよ、と突っ込みたくなる
｢･･･多様性を認められない呪術界は終わりだな｣
｢せ、先生？｣
｢何でも無いよ。俺がいる限り、虎杖くんに手出しはさせないって話｣
｢先生･･･｣
虎杖くんが死を望んでいたとしても、それは虎杖くんの言う、正しい死ではない
｢さてと、吉野くん。そろそろ帰ったらどうかな？お母さん、待ってるんじゃない？｣
｢もうこんな時間･･･。先生と話せて良かったです｣
｢俺もだよ。玄関まで送るね｣
｢ありがとうございます｣
お礼を言った彼と共に、玄関まで歩いた。靴を履いている吉野くんを見下ろした。立ち上がって、こちらを振り返った吉野くんに近付き、ドアの方に押しやった
｢せん、せい･･･？｣
｢･･･寝込みを襲っちゃ駄目だよ、順平くん｣
｢す、すみま、せん･･･｣
耳元で言えば、彼はすぐに謝った
｢もうしないでね｣
｢は、はい。･･･あ、でも、僕の事は順平って呼んでください｣
｢分かった。それじゃ、おやすみ｣
｢おやすみなさい｣
順平くんを見送り、再びソファに寝転んだ。もう一眠りして、次の日を迎える。欠伸をしながら、校内の廊下を歩いて、一年生の教室の前で立ち止まり、ドアを開けた
｢おはようございます｣
｢おはよーございま、って先生!!?目ぇ覚めたん!!?｣
｢この通り、元気だよ。心配を掛けたね｣
教壇に上がりながら、虎杖くんに返す
｢い、いや、全部全部、俺のせいだし、その先生が、生きてて良かった｣
｢死なないよ。俺が死ぬとしたら、この下らない世界を壊してからだね｣
｢え、えぇー･･･先生って、めっちゃ規模でかくない？｣
｢悟くんと変わらないよ｣
彼だって、枷が外れたら、そのぐらいはやってみせるだろう。それと自分も変わらず、この世界を道連れにして、この世から消える
｢俺が死ぬ時は、俺と一緒に死んでね。虎杖くん｣
｢はぁ!!?｣
｢何言ってんすか｣
ふざけて言ってみたのだが、虎杖くんよりも早く釘崎さんと恵が反応した
｢冗談だって。さ、授業、始めるからね｣
凄く睨まれているので、冗談という事にして、授業を開始した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空白可能
| 作成日時：2021年1月2日 12時
