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「という訳で、当社ではポイント制を導入しています」
「ポ、ポイント制?」
あまり伝わらなかったので、黒板を消して、ポイント制度について説明をする事にした
「ポイント制って言うのは、祈りを捧げて、貯まったポイントを好きな加護に変換する事だね。勿論、ポイントが多く貯まれば、与えられる加護も大きくなる」
黒板に図を描いて説明をする。ポイント制を導入するのは、忍びなかったが、これまでの事で導入せざるを得なかった
これも人間の因果というものだ。悪く思わないでもらいたい
「一回の祈りで、どれだけの加護が?」
「一回なら、その日に起こるはずだった小さな不幸を消すぐらいだね」
「・・・本当かどうか分からない範囲ですね」
「人生って、小さな分岐点の積み重ねだよ。小さな不幸が重なり、大きな不幸になったりね」
そう言うと恵は何も言わなくなる
恐らく、虎杖くんの事を何かしら思っているのだろう。虎杖くんも虎杖くんで、俯いてしまっている。吉野くんも釘崎さんも、心当たりがあって、俺から視線を外していた
「・・・祈る時、なんて祈れば良いですか?」
「何でも良いよ。信仰してるって、分かれば良いから。誰かの幸せを祈るとかね」
恵に答えれば、何かを悩み始めた
「良いのですか?加護の事を話して」
「良い人には幸せでいてほしい。ライラもそう思うだろ?」
「勿論ですわ。短い人生を長生きしてほしいですもの」
隣にいたライラの横顔を見れば、誰かの事を思い出しているようで、遠くを見詰めていた。しかし、すぐにこちらを見て、笑い掛けて来た
「お前らも、出来るだけはするぞ」
「分かっている。だが、いざと言う時は・・・」
「その時は、その時に考える」
人間とは本当に面倒なものだ。だからこそ、俺達のような存在に嫌われたりする。それに現状を考えてみても、色々と嫌な予感がする
「先生!!俺、先生に祈る!!」
「お、虎杖くんは何を祈るのかな?」
「んー、内緒!!」
「そっか。じゃあ、今日はこれで終わりだから、祈りは個人で適当にしてよ。皆、中に戻って」
仲間達に戻ってもらい、授業を終える。授業をしたところで、俺達の存在を信じるかどうか、微妙なところだったが、一年生は信じてくれた様子だった
「天使先生」
「ん?」
廊下に出て少し歩いた所で声を掛けられて、振り返った。振り返った先にいたのは、俺の事を追い掛けて来たであろう吉野くんだった
「どうしたの?吉野くん」
「僕の祈りも先生に届いてますか?」
俯いていた吉野くんは、顔を上げて問い掛けた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年1月2日 12時