まったりじゅじゅさんぽ。 (ページ20)

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｢残念。当たらないね｣

勢いよく振り下ろされた女性の手を掴んで止めて言う

｢殴られてやると思った？そこまで俺は優しくないよ？分かったら、とっとと失せろ｣

笑って言えば、女性達は少し怯えた様子で、走り去って行った

｢さーて、サイモーン。出て来なさい。デートだぞー｣

姿を消していたサイモンを呼べば、俺の隣に出て来る

｢うわぁ、超可愛い。釘崎さんは天才だ｣
｢当たり前よ｣

釘崎さんのセンスを語彙力の無い言葉で褒めてしまったのだが、彼女は、それでも機嫌を直してくれたようだった

服を選んでもらったサイモンは、別れた時よりも数倍可愛くなっていて、いつもの黒い服装から、サイモンの暗い髪色に良く映える明るい服になっていた

｢写真に写らないのが残念過ぎる･･･｣

サイモン達は、呪霊と同じで写真などには写らない。集中をすれば、写る事は可能だが、それでは顔が怖くなる

｢そう言えば、随分と言うようになったな｣
｢まぁな。俺は優しい人間では無いからな｣
｢それが元導師の言う事か｣
｢どう思う？何でも良いよね。邪魔はいなくなったし、デートしよ｣

今日の最大に目的は、サイモンとのデートである。お仕置きとして、四時間を設けたと言うのに、とんだ邪魔が入ったものだ

｢俺の好きなようにさせてね？サイモン｣
｢分かっている｣

視線を逸らされたのだが、本当に分かっているのだろうか。何かあれば、その時に言えば良いだろう

｢･･･天使先生｣

誰かに呼ばれて、服の裾を引っ張られる。そちらの方を見ると、恵が俺の服を掴みながら、俯いて隣に立っていた

｢どうしたの？｣
｢い、いえ･･･その、｣

訊いても、歯切れの悪い返事しか返って来なかった

｢恵。また今度、一緒にどこか行こうか。二人きりで｣
｢･･･はい。また｣
｢じゃあ、そういう事だから、釘崎さん。サイモンの事、ありがとうね｣
｢ええ。あ、これ｣

釘崎さんから財布を受け取り、皆と別れた

サイモンと二人きりになって、四時間程度のデートを楽しみ、デートのついでに、買い物にも付き合ってもらい、サイモンへのお仕置きと誓約の力を試すという予定を終えた

｢はーい。おはようございます｣
｢おはようございまーす!!｣
｢おは、おはようございます･･･｣

教室に入って挨拶をすれば、元気な声と慣れていない声が返って来る

｢虎杖くんは元気だねー。吉野くんはもっと自信持って。釘崎さんと恵も、おはよー｣
｢はよ｣
｢おはようございます｣

もう一度、挨拶をすると、二人からも挨拶が返って来た