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「お待たせ」
見ているのも悪くないが、今は急ぎの用があるので、暫く見て楽しむという事は出来ない。すぐに傍まで行き、声を掛けた
「先生」
「モテモテだね。羨ましい」
「嬉しくないです」
心底、迷惑そうな顔をして恵は答える
「あのぉ、お兄さんも一緒にどうですか?」
「え、俺も?」
「そうですよ。きっと楽しいですから!!」
「きっとって。悪いけど、俺は今から大事な用があるから、無理なんだよ。勿論、その子もね」
大事な用があるから、と断れば引き下がってくれるかと思ったのだが、女性達にそれらしい気配は無い。むしろ、胸を腕に付けられて、何かとお願いされている
「おーおー、人様が手伝ってんのに、楽しそうな事やってんなぁ」
しつこくねだっていた女性に困っていると、聞き覚えのある声が聞こえた。そちらの方を見れば、明らかに不機嫌な顔をしている釘崎さん達がいた
「誰ぇ?」
「貴女には関係無いよ。離れてもらえる?これからデートなんだ」
そう言うと、女性は釘崎さんの事を見た。苛立ちながらも、それに黙っている釘崎さんにヒヤヒヤする
「私達の方が可愛いじゃないですかぁ」
「はぁ?てめぇ、何言って、」
「こんな乱暴そうで、可愛くない女、放っておいて、私達と遊びましょ?他の男性のお友達も連れて」
にっこりと笑って、俺を見上げる女性は後ろにいる釘崎さんの事が見えていないのだろう。金槌を振り上げている彼女を止めている、虎杖くんと吉野くんの身にもなってくれ
「うーん、俺がデートしたいのは、彼女じゃない事は確かだけど、俺は君達ともデートしたくないなぁ。そうは思わない?男性諸君」
「まぁ、そうですね」
「先生、そんなん良いから早くなんとかして!!?ヤバイって!!」
釘崎さんを抑えている二人が限界を迎えそうらしい。虎杖くんが焦った様子で、俺に向かって叫んだ
「そうだね。俺も早くデートしたいし、帰ってもらえるかな?お二人さん」
そう言って女性二人に笑い掛けた
「えぇ、じゃあ、貴方だけでもー」
「デートだって言ってるの、聞こえない?耳掃除してる?それとも遠い?耳鼻科でも行ったらどう?」
「は、」
早口で言えば、驚いたような顔をされる
「人を貶してでしか、自分を上に見せられない人って、嫌いだなぁ」
女を見下ろして、続けて言った
「せめて、あの子のこんなところが良いけど、自分もこんなところが良いですよ、って言えないのかな?低俗すぎて、俺には不釣り合いだ。離れろ」
「なっ、最低!!」
怒鳴った女は、俺から離れて手を振り上げた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年1月2日 12時