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｢悪いな、サイモン。実験体みたいにして｣
｢構わん。慣れているからな｣
｢変な事に慣れるな｣
サイモンは前の事で、罪悪感を持っているのか、他に何かがあるのか分からないが、変な事には慣れてほしくはない。誰かさんの育ちの良さが、移ってしまったようだ
｢サイモンさんって、喋れたんですね。もしかして、他の皆さんも？｣
サイモン達と面識の多い吉野くんが訊いて来る
｢うーん、今は喋れるようにしてるだけ、かな｣
｢そんな事が出来るんですか？｣
｢簡単では無いけど、俺に必要の無い事を犠牲にすれば、大体はどうにでもなるよ｣
吉野くんは、思い当たる節があるようで、それ以上は何も訊いて来なかった
｢恵も食べる？｣
｢あ、いや、俺は良いです｣
注文を終えて、暫く待ってやって来たパフェを向かいの席に座る恵にも勧めたのだが、断られてしまった
｢ご馳走様でした!!｣
｢ご馳走様でした。お会計は･･･っと、電話だ｣
テーブルの上に乗せていた携帯の画面が点いて、誰かからの着信を告げていた
｢釘崎さん、これで払っといてくれる？お会計が終わった後も、持っといて良いから｣
｢はぁ？何言ってんの？｣
｢サイモンの服代だよ。じゃあ、先に出てるから｣
携帯を手にして、外に出る
｢もしもし？｣
電話に出たものの、相手は何も話さない。非通知だった時点で、何かしらがあるとは思っていた
｢やぁ、初めまして｣
｢初めまして。ツギハギくん｣
携帯を耳から離して、通話を切る。そして、横目に入っていたツギハギくんに向き直り、同じように挨拶を交わした
｢呪霊が俺に何かご用かな？祓われたい？｣
｢まさか。君は虎杖 悠仁の知り合いなんだって？｣
｢まぁ生徒だね。それが何？用件を早く言わないと祓うよ｣
｢無理無理。だって君、四級でしょ？｣
ツギハギくんは俺の階級を知っている。という事は、俺の事を知っている誰かが、手を貸しているという事か。それに加えて、俺を下に見ている人物
｢その四級の俺を殺しに来た訳だ｣
｢そういう事。呪術師に術式を当てると、どうなるのかって言う実験も兼ねてね｣
以前は失敗したから、格下であろう俺で試そうとしている、という訳か。単純明快で、分かりやすい
｢虎杖 悠仁の魂を殺す為に、君に虎杖 悠仁を襲わせる。楽しそうでしょ？｣
｢確かに。出来るものなら、やってみなよ｣
そう言った瞬間、ツギハギくんは一気に距離を詰める。それとは逆に、自分は後ろに下がって、距離を保とうと思ったが、相手の方が少し速かったようで、ツギハギくんの手の平が、俺の体に触れた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年1月2日 12時
