小話 パジャマパーティーの謎 ページ38
それは、かわいい後輩と他愛のないお喋りを楽しんでいた時。
家入硝子は耳を疑った。
「昨日、五条先輩とパジャマパーティーしたんですけど」
そう、後輩が口にしたからだ。
「ごめん宮井、何て？」
「昨日、五条先輩とパジャマパーティーしたんですけど」
「何、パジャマパーティーって」
「えっと…」
「五条先輩、いつも私の部屋に来る時『パジャマパーティーしようぜ』って言うんです」と、照れ笑いする宮井。その表情はとても可愛らしいが、パジャマパーティーというアホそうな響きが妙に笑いを誘う。何だパジャマパーティーって。
心の中で笑い転げながら、家入は宮井の話の続きに耳を傾けた。どうやらそのパジャマパーティーとやらは、ただ夜中にバカやって騒ぐだけの催しらしい。昨日は二人で自作した、地獄のような人生ゲームをしたそうな。ますます面白い。
…待てよ。宮井の話に耳を傾ける一方で、家入の頭の中にある記憶がぽんと浮かんだ。
確かあれは、五条と宮井が付き合い始めてすぐの頃。夜に宮井の部屋を訪ねたいのだが口実をどうしたらいいか、と五条に相談されたことがある。
『会いたいから来たって言えばいいだろ。ついでにイチャイチャしたいですって』
『それだと下心があるみたいじゃん。もっとこう、ちょっとお茶でもしない？みたいなニュアンスのやつないの？』
下心も何もそれしかないじゃないか、と舌打ちしながら、次に返した言葉は――――――確か、こう。
『知るか。もうパジャマパーティーしようとでも言っとけ』
(あれ、冗談だったのに。もっとマシなの思いつかなかったのか)
…けど、部屋に二人きりにもかかわらず、宮井にまだ手を出していないその心意気。
それだけはまぁ―――褒めてやらんこともない。
五条はほぼ確実に手が早いだろうと思っていたのに、アイツは存外、宮井のことを大事に大事に扱っているらしい。
宮井から聞く五条の話はいつも楽しそうだし、何より―――五条の、宮井を見る目。あそこにいるのは本当に五条悟なのかと聞いて回りたくなるような、慈愛に満ちた目。花や動物を愛でる習慣など五条にはないと思うが、奴はそれらに向けるべき愛もすべて、宮井Aという一人の少女に注ぎ込んでしまっているらしい。
―――変わったな、五条も。
家入硝子が密かに、五条悟という男を見直した瞬間だった。
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つく(プロフ) - のみさん» のみ先生ありがとうございます…！のみ先生からの励まし、とても力になりました。今後ともよろしくお願いいたします…！ (2021年2月20日 13時) (
レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - へかーてぃあ@夢見月*小夜セコム隊さん» ｵﾜｧ！最初から読んでいただいてありがとうございます…！続編についてもいつか公開すると思いますので、また楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 晩鶴紫呉さん» ありがとうございます〜！続編についてもぽちぽち書き進めている最中ですので、いずれ公開します！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - はにゃさん» ありがとうございます！続編もいずれ公開されると思いますので、その際はよろしくお願いします〜！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 五音さん» コメントありがとうございます！続編については制作中ですので、ある程度アップできる状態になったら公開しようと思います〜！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つく | 作成日時：2021年1月16日 1時
