辛くないか ページ29
夏油先輩と最後に会ったのは、いつだっただろうか。
灰原の葬儀…いや、その二週間後にも、会って話したっけな。
高専の渡り廊下を渡って少し歩くと休憩スペースがあって、そこに自販機やらベンチやらが並んでいる場所がある。
私が五条先輩にパシられていた頃、ジュースを買いに毎日通った場所。最近は行ってなかったその場所に、何となく足が向いて。よく五条先輩が飲んでいた変なネーミングのジュースを飲みながら、物思いにふけっていた。
そうしていると、ふと足元に影が下りた。顔を上げるとそこには夏油先輩が立っていて、片手をあげながら「やあ」と軽く笑う。
「夏油先輩…お久しぶりです」
「うん、久しぶり。…隣、いい？」
「は、はい。どうぞ」
すとん、と隣に腰を下ろす夏油先輩。
久しぶりに会った夏油先輩は、去年までとどこか雰囲気が違っていた。
大人っぽくなったと言えば聞こえはいいが、…なんだか、何かを諦めているような、そんな表情。最近彼の無邪気に笑う顔を見ていないのは、五条先輩が彼の隣にいないからだろうか。
「久しぶり、と言っても…二週間ぶりくらい？かな」
「そう…ですね。なんだか、すごく昔の出来事みたいな感じがします」
「…うん。分かるよ」
仲間が死ぬ、というのは…こんな気持ちなのか。
心にぽっかりと穴を空けられたみたいな、どうしようもなく虚しい気持ち。くだらない話をして笑い合えていたあの日々が奇跡だったのだと痛感せざるを得ないくらい、まるでしゃぼん玉のように、ある日突然ぱちんと弾けて消えていく命。
ずっと黙ったまま考え込んでしまう私に、夏油先輩が口を開く。
「…これは、灰原にも聞いたんだけど」
「…はい」
「呪術師、やっていけそうか？」
辛くないか。と、夏油先輩は私に聞いた。
「…灰原は、何て答えたんですか？」
「自分にできることを精一杯やるのは気持ちがいい」
「ふふ…灰原らしいですね」
「…本当にね」
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つく(プロフ) - のみさん» のみ先生ありがとうございます…！のみ先生からの励まし、とても力になりました。今後ともよろしくお願いいたします…！ (2021年2月20日 13時) (
レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - へかーてぃあ@夢見月*小夜セコム隊さん» ｵﾜｧ！最初から読んでいただいてありがとうございます…！続編についてもいつか公開すると思いますので、また楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 晩鶴紫呉さん» ありがとうございます〜！続編についてもぽちぽち書き進めている最中ですので、いずれ公開します！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - はにゃさん» ありがとうございます！続編もいずれ公開されると思いますので、その際はよろしくお願いします〜！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 五音さん» コメントありがとうございます！続編については制作中ですので、ある程度アップできる状態になったら公開しようと思います〜！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つく | 作成日時：2021年1月16日 1時
