大事にしろよ ページ15
「あー、やべぇ…会いたくなってきた…」
宮井のことばかり頭に浮かんできて、思わず眉間を押さえた。俺は宮井のこととなると、時折どうもこうして頭が回らなくなる。
その間も俺の携帯を覗き込んでいた天内が、宮井の写真を眺めながら言った。
「カワイイ子じゃな。優しそうだし」
「はぁ?言っとくけど、実物はもっと可愛いかんな」
「そこまで言うなら今度会わせてくれるんじゃろうな?話はそれからじゃ」
「別にいいけど。宮井にその変な喋り方うつすなよ」
「失礼な!人を病原菌みたいに!」
キーキーうるさい天内に、今度宮井と会わせる約束をした。
宮井は意外と順応性あるから、きっとコイツに会ってもすぐ打ち解けられるだろう。
その時はどうか、宮井が「〜〜じゃ」とか言い出さないことを願う。
まあアイツが変な喋り方になっても、愛せる自信はあるけれど。
「…ま、会えないんじゃけどな。もう」
その彼女に、よろしく言っといてくれ。そう言いながら、天内が寂しそうに目を伏せる。
明日の日没後にはもう同化の時間だ。自分にはもうその先の未来がないと分かっていて、まだガキのくせに大人ぶって、その運命を受け入れようとしているのだろう。
「助けて」と一言いえば済む話なのに、意地でもそれを言わない。
ガキのくせに、自分より他人を優先しようと思うんじゃねぇ。
そういうところは、宮井に少し似てるのかもな。
お前が望むなら、俺たちは世界と戦う覚悟だってできている。だからお前は素直に、自分の気持ちを言えばいい。
その台詞はまだ胸に仕舞っておいて、俺は黙って携帯の画面を閉じた。
そんな俺をちらりと見て、天内が尋ねる。
「その子、名前は?」
「…A。宮井A」
呼び慣れたその名を教えてやると、天内はふわりと微笑んだ。
「いい名前じゃな」
何がそんなに嬉しいのかと聞きたくなるくらいの満面の笑みで、そう言った天内。
大事にしてやれよ。と映画の決め台詞のように言うソイツに、俺も笑いながら言った。
「言われなくても、これ以上ないくらい大切にしてんだわ」
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つく(プロフ) - のみさん» のみ先生ありがとうございます…!のみ先生からの励まし、とても力になりました。今後ともよろしくお願いいたします…! (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - へかーてぃあ@夢見月*小夜セコム隊さん» オワァ!最初から読んでいただいてありがとうございます…!続編についてもいつか公開すると思いますので、また楽しんでいただけるよう頑張ります! (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 晩鶴紫呉さん» ありがとうございます〜!続編についてもぽちぽち書き進めている最中ですので、いずれ公開します! (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - はにゃさん» ありがとうございます!続編もいずれ公開されると思いますので、その際はよろしくお願いします〜! (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 五音さん» コメントありがとうございます!続編については制作中ですので、ある程度アップできる状態になったら公開しようと思います〜! (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つく | 作成日時:2021年1月16日 1時