【大幅修正入ります】最強鉄拳をお望みですか？【ONEPIECE】 (ページ4)

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しかしまあ、これほど恋愛ごっこが続かないことにもわけがあるのであって。

青年はこの女と生活を何年間か共にしていた故に察さざるを得ない部分があり、それはまさに女が何にも執着しないという人間性の欠落の仄めかしである。
恋人としてのムーブは完璧でそれは男にも女にも変わらず接していたが、それ故に恋人たちには駆け引きなどの恋の楽しい部分を全く味わせない終いになってしまった。

いい人で留まらないほどに、この女への独占欲は身を焼くほどに人々を駆り立てたが、それと裏腹に目の前の女を自分だけのものにできるほどにまで、女を同じところに落とせずにいたのだ。

付き合ったとて、体を重ねたとて、愛の言葉を吐かせたとて、女は恋人に何の感情の滲みも感じさせなかった。恋人として、肝心ななにかがかけていたのだ。それを女の意識するところなのかは、青年にも分かるはずもなかった。女自身でさえ。

「恋人は限りがあるからな。仕方ないさ、あのお嬢さんも珍しい経験になったろ。同性の女と付き合って半日で別れるなんてな」

「…ちょっとくらいキレたらどうなんだよ。振り回されっぱなしじゃねぇか」

「…仕方ないさ。私が悪いらしいし」

＿＿＿＿＿まあ、こうやって顔を悲壮に歪められるほどに、女は気持ちを分けていたのだと知ったのは、青年が知るには遅かったのだが。

不器用な女なのだ。それをかつての恋人たちが知る前に、人々は女の前から離れていってしまった。まるで完成されたシナリオのように。

ある種の諦念を回遊させることにも慣れた女にかけるべき言葉などない。もうすでに青年から女へ言葉は尽くした。尽くしきったゆえの、この揶揄するようなストレートな言葉の暴挙を選んだのだ。それは青年から女への心ばかしの慰めであり、年上からのちょっとしたアドバイスでもあった。もっと強欲になれ、と。
それすらもただの言葉遊びだと捉えているのかは定かではないが、女はこの青年が自分のことをそれなりに案じてくれていることには気が付いていた。

女は数年前まで世界中で旅をしていた。
海にさえ出なかったものの、商船や海軍の船を乗り継いでたった一人で4つの海を渡り歩き、そうして世界をさらっと見流したあとにひょっこりこの港町にやってきたという。

ようやく宿り木を見つけたように彼女はここにいる。