らいおん君が本気の恋をした話【2】 (ページ9)

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『後10年でいいから生きたい。

　人生が終わる前に、一度でいいから

　何も考えられなくなるくらい誰かのことを好きになって

　その人のためならなんでもできるってくらい愛して

　そんな恋をしたかった。』

『って10歳の子に言われてさ。

　20年以上生きてるけどそんな恋したことないよ』

「そんな恋一握りでしょ」

『したことある？』

「ねーよ。」

『そっか』

「女ってすぐ飽きるし。向こうも飽きたらすぐどっか行くし」

その人のためになんでもできるって

その人のために命だってかけれるって

血の繋がった家族くらいじゃね？

きっと自分の子供くらいじゃね？

『女に偏見ありすぎじゃない？』

「そうじゃん」

『彼女にそんなこというんだ』

「彼女って自覚はあんだ」

『(仮)ね』

クシャッと笑って煙をはきだした。

電話もとで笑ってる声は聴いていたけど

実際にこんな屈託のない笑顔を見たのは

はじめてかもしれない。

かわいいなって思った。

純粋に笑顔が。

彼女のその笑顔の理由になりたい。

なんてね…

『あ、焼肉弁当ありがとうございました。』

「あーうまかった？」

『めちゃくちゃ！』

Aって最初は

大人っぽくてツンとしてるイメージだったけど

意外と子供っぽく笑って少し甘えん坊で。

俺のしらないAがたくさんいるんだ。

「それ吸い終わったら帰るか。」

『うん』

灰皿にたばこをつぶす。

その仕草がどこかきれいで美しかった。

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