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はじめてAが家にきて
1週間ちょっとが過ぎた。
あれから会うことはなくて
会う約束もしてない。
2日か3日に一度の連絡が
俺たちの連絡ペースになった。
俺からすることもあるし
Aからくることもある
その一度の連絡も、くだらない話が多くて
いつあいてる？とか
会いたいとか
すきだとか
そんな恋人らしい会話なんて一切ない。
会えばこいつ俺のこと好きなんだなって
って思うのにスマホの中のAは
彼女と言うより友達に近い。
それが悪いってわけではないのだけど
なんだかちょっと"あれ？"ってなる。
彼女と連絡なんてたまにで大丈夫だと思ってた。
今日何をしてるのか。
元気にしてるのか。
そんなこと気になったこともなくて。
既読無視されても気にならなかった。
なんなら俺だって友達にすることあるし
でもAの既読無視だけはどうしても気になって。
1人で酒飲んでんのかなとか。
煙草吸ってんのかなとか。
てか、そもそも彼氏に煙草吸ってんの
あんな堂々と言うかね。
隠さないんだって隠し事しないのは
Aのいいとこかもしれないけどさ
なんかそういう対象で見られてない気がしてきて。
なんかちょっとしょげる。
そんな時仕事のロケで来週Aの住む付近へ
いくことが決まっていた。
「これ帰りどーすんの？」
マネ「新幹線だけど」
「現地解散ってあり？」
マネ「次の日仕事に影響なければね」
次の日は
幸い午後から仕事
あとはAが夜勤じゃないことを祈るだけ
今日は明けって言ってたから
もしかしたら寝てるかも。
2回コール鳴っても出なかったら切ろう。
「あ、もしもし」
『じゅりくん』
「わりぃーやっぱ寝てた？」
『だいじょーぶ』
いつもより少しこもった、
甘い声で俺の名前を呼ぶ。
「来週水曜仕事？」
『ちょっとまって』
『あけのやすみ』
「そっち仕事で行くからそのまま家行く」
『え、ほんとに？』
「ん。じゃ、おやすみ」
2週間ぶりくらいにやっと会える。
それと同時に3ヶ月目に突入する。
結局2ヶ月目会えたのは一度だけ。
その辺のスタッフより会えてない。
きっとAだって俺よりその辺の医者のほうが
たくさん会ってんだろ？
俺の知らないAを知る。
俺の知らないAがどんどん増える。
俺は今まで感じたことのない感覚に襲われた。
独占欲…
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作者名：唯音
| 作成日時：2023年2月24日 22時
