風味絶佳 (ページ42)

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3日間の研修が終わって、ついに明日は所属発表。私は明日からもこのビルだけど、ソクミンは、もしかしたら転勤かもしれない。ソクミンより、私の方が何故か不安で、無性にそわそわしてしまう。

「も〜ソラちゃん大丈夫だって！」

「だって、ソクミンいなくなったら本当に私やっていけない気がする……」

「ていうかそもそも、本社勤務になったっておんなじ部署には絶対なれないんだから〜」

そう、そもそもソクミンは営業系、私は総務系、と職種が違う為、同じ部署にはなれないのだ。でもやっぱり、全く知らない世界に1人で飛び込むのは怖くて。

そんな心配とは裏腹、ソクミンも本社勤務となり、同じビルでの就職になった、のだが。

「ソラちゃん！俺第二営業部になったよ、明日からも一緒！！！」

うんともすんとも言わない私の周りを、ネクタイを捻らせたソクミンが歩き回る。

「ソラちゃん？おーい、ソラちゃん聞こえてる？」

「………ねぇ、どうしよう、ソクミン。」

震えの止まらない声で、ソクミンに渡した配属命令書には、黒く、太い字で＂社長室執務＂と書いてあった。

「………マジか。、ソラちゃん、大丈夫？」

「私、英語もパソコンも、全部そんなにできないし、どうしよう。っていうか同期、同期はいるのかな、1人なんて、絶対無理だ、」

会社の廊下で慌てふためく私を、ソクミンが慰める。ソラちゃん、大丈夫、大丈夫。

全然大丈夫じゃない、と絞り出した瞬間、また、不安が心を覆うのだった。

その夜、ミンギュから来たひとつのメッセージ。

＂俺もソクミナも応援してるから大丈夫。落ち込んだら美味いもん食わせてやる～＂

ソクミンにもらった大丈夫、ミンギュにもらった大丈夫、だから大丈夫、だなんて呪文のようにその言葉を何度も心で呟いて、眠りについた。