風味絶佳 (ページ5)

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「ていうかソラちゃん彼氏とかいないの？
転校してきた日、めっちゃかわいい子が来たって噂になってたし。」

「そうなの？彼氏もいないし、きっと日本人が珍しかっただけだよ……。」

「違うよ〜、私の幼馴染も可愛いって言ってた。ニヤニヤしながら。」

「幼馴染いるんだ、いいな〜。どのクラス？」

「うん、チョンウォヌって言うんだけど分かる？隣のクラスの眼鏡の、バスケ部なんだけど、」

完全に初耳の名前をどうにか覚えようと、とりあえずどんな人なのか聞いてみる。

「割と無口なんだけど意外とよく笑うの。ちなみに去年も同じクラスだった。なんかいっつも小馬鹿にしてきてね、それで、」

そういう彼女の顔は可愛らしい女の子の顔をしていて、直感で恋をしてるんだと感じとる。

恋、あまりにも自分にはかけ離れた単語すぎてジヨンちゃんが映画の中の主人公に見える。

「ジヨンちゃんの幼馴染だから、きっといい人なんだろうね」

私が呟くと、ジヨンちゃんは控えめに頷いてから照れ臭そうに笑い、教室戻ろっか、と言った。

その日は午後からも友達が出来た嬉しさと、まだまだいろんな人と仲良くなれるかもしれないという期待、授業についていかなきゃという焦りでいつもの倍、頭の中が忙しかった。

家に帰ってからも、新しく追加されたカトクの連絡先をニヤニヤしながら見つめてしまう。
なるべく丁寧に、スペルミスに気をつけて送ったメッセージには顔文字付きの返信がきて、また顔が綻ぶ。
ジヨンちゃん、クールな雰囲気なのに意外と文面ではテンションが高いみたいだ。