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珍しく、扉まで出てきたおじいちゃんにどうしたの？と聞くと、これ、忘れものじゃないのか、と。
おじいちゃんの手には明らかに男物のマフラーがあり、さっき小人くんがつけていた物だと気づく。
明日から雪が降るみたいだし、届けてくるね。とおじいちゃんに伝えて、微か遠くに見える3人組の背中を追って走り出す。
寒さで凍りそうな耳とは裏腹に、またお話しできる、と浮かれているのは、彼の笑顔が思っていたよりもずっと素敵だったからだろうか。
「あの！これ、」
なんとか追いついた彼らに、マフラーを差し出すと、あ！と高らかな返事が。
「これ、お店に置いてあって……小人くんのやつだ、と思って。すみません、勝手に。」
走ったせいでしわくちゃになってしまったマフラーを綺麗に畳み直してもう一度差し出すと、笑い堪えれないと言った表情の2人と、ぽかん、とした小人くん。
小人くん。そう思ったが最後、今しがた彼を小人くん、なんて勝手に呼んでしまった事に気づいて慌てふためる。
「す、みません！小人くんっていうのは、その、おじいちゃんと！いや、おじいちゃんと2人で、その、よくきてくれる子がいるなあって、すみません、お客さんに対して……。」
早口で捲し立てた私に、小人くんが半笑いで言う。
「これ、ありがとうございます。なんか寒いなって思ってたから、届けてくださって助かりました。背はたしかにこいつらより低いけど。俺、」
ご飯を頬張る笑顔からは想像のできない、綺麗な真顔で、私とじっと見つめる。
「小人じゃなくて、ジフン。俺の名前。」
「……ジフン、さん。」
「おう。また食べに行く。」
やってしまった、んだと思う。大切なお客さんに失礼なことを言ってしまった自覚はあるんだけど、そんなに悪いことをしたわけでもない気がする、多分。
というのは名前を呼んだ私を見て、彼、ジフンさんがなぜか少し嬉しそうだったから。
片方の口角を上げた、綺麗な色白の顔を思い出して、帰り道を急ぐ。早くおじいちゃんに報告しないと！
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作者名：グラ | 作成日時：2023年1月23日 23時
