やすだ短編

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「ヤス……なぁ、1ついい？」









ヤスが俺の方を見る。
さっきみたいな悪い顔じゃなくて…
俺をみる顔はあどけなくて、多分罪悪感が募ってる顔で、可愛くて。
俺の事、本当に好きなのか聞こうとしたけど、もう、どうでもいいやって。これからあの日々が無くなってもずっとどこかで元気に生きててくれたら、それでいいやなんて、思ってしまった。だから。



「…今まで、ありがとう。誰よりも…好きやったよ」







ヤスの顔が歪んだ。唇を噛む。泣きたい時にする、やすのくせ。





すばるくんが外国人の男に催眠のスプレーをかけた。
念の為、体型が大きい男にも。
そしてヤスの前に来る。


そして。あろうことか、俺が殴られて倒れた隙に、
銃を俺の方に向けた。すばるくんの目は、なんの迷いもなく、今まで見たことないくらい冷酷だった。
ヤスが、はっと息を呑むのが分かった。



「おい、そこのチビ。仲間に連絡しろ。今すぐ亮を解放しろ。じゃないと、大倉殺すぞ。俺は本気や。俺にとって世界で1番大切なのは亮なんや」



ヤスがふっと笑った。


「たっちょん殺すも、好きにしたらいいやん。
俺、敵やし。仲間割れしてくれるのなんて、大歓迎やわ。」



そう言いながら震えてる、声。
ヤス。やっぱり俺の事、好きでいてくれたん…？



「本当に、いいんか？
…………俺、まじで殺すぞ」
すばるくんのなんの迷いもない声に、俺、殺される…？と頭が回らなくなった、その時。



「…分かった！！！…連絡する、から…銃、下げて」


下を向いたヤスがため息をついた。
「俺が言う番号に連絡して。俺らの会話聞きたいんやったらスピーカーにして好きに聞いとって」



そんなやすの声を聞きながら、俺は……ゆっくり意識を失った。

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