偽物の笑顔が知っている

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でも…


零？「この頃の私…」


なんだか輝いているように見える

別にその時その時の行事を楽しんでいたわけじゃない


どうして？


そうやってその時の事を組み替えたり過去の事とくっつけて考えてなんとなくの答えは出た


わかった


今の私とこの頃の私



持っているものが違うんだ

この頃の私には

「勇気」、「正義」、「信頼」

そして

「仲間」

プラスの物をたくさん持ってる

でも…今の私には

「偽物」

それに塗り固められた物しか持っていない


マイナスの物はほとんどなくなったけど、プラスの物は１つとしてない

きっと、これが昔の私と今の私の違い


零？「だからかな…？」


写真に反射して映る自分の顔

今までなんとも思わなかったのに…


本当に…


「死んでいるみたい」



何も写さない、感情を持っていない目

下りきった唇

まるで今の私をそのまま写しているみたい

笑っている時も、こんな顔をしていたのだろうか？


そしてなんとなく写真に向き合ったまま笑ってみようとする

自分では上げているつもりなのに、写っているのは笑っていない私


(どうして？なんで笑えないの？)


試しても試しても笑えない


(ずっとやってきたことじゃない)


唇の端を上げようとする


(慣れているはずなのに…)


ゆっくりと目の前が見えなくなる


(お願い…笑って…笑わせて)


頬に冷たい何かがつたう


(お願い…今だけでいいの…笑った私を…)


冷たい何かは止まることを知らない


(昔の私を…偽物でもいいの…)


写真に落ちる粒がゆっくりと染み込んで写真を犯していく


(お願い…「偽物」すらできなくなった私には…)



昔の私が消えていく


輝いていた私が


全部


持っていたはずのものも



憧れていた夢も



仲間と


笑いあい


励まし合い


手をとりあった


思い出も



今の私も消えていく


幸せになりたいと努力した日々


傷つきたくないと偽物で過ごすと決めた日々


違和感を抱き続ける日々




全部がぐしゃぐしゃになって見えなくなっていく






全部が消えて





偽物で塗り固められた物すらなくした私には









「もう何も残ってない」

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