遺書��(シーザー) ページ12
ジョセフ・ジョースターとやらから封筒を貰い、開けないまま数年が過ぎた。封筒はどこかにいってしまった。あれからあの男は訪れない。シーザーの他の関係者も来ない。
彼という存在のいなくなったわたしの生活は日に日に色褪せていき、目に映る何もかもに無感動になっていった。
ふと、部屋の掃除をしている時に一冊の日記から滑り落ちた封筒に気づいた。貰った時と寸分変わらないままだった。わたしは封筒を拾い、しげしげと眺める……『愛するAへ』。そう書かれた封筒を、わたしは何の躊躇いもなく破った。中から三枚便箋が飛び出す。封筒を捨てると、わたしは便箋を広げた。紙にびっしりと書かれていたのは彼の、シーザーの字だった。
『A。おれ自身どう書いていいのかわからない……が、もしおれの危惧することが起こってしまえばきみには二度と会えない。こういう形できみにラブレターを初めて書くことになったのはおれとしても非常に不本意だよ。もしかしたらきみは今この手紙を読んで腹を立てているかもしれないな。けど、どうか許してくれ。おれには、どうしてもやらなければならないことがあった…………』
目を通していく。
柱の男。エイジャの赤石。波紋。ジョースター。その他諸々……どれもこれも内容は非現実的なもので、それでも、わたしはシーザーがクスリをやっていたのかもしれないだとか、そういったくだらない思考は一度もしなかった。
最後まで目を通し、わたしは彼の抱える事情と、あまりにも壮絶な覚悟を知った。
いや、知ってしまった。
「ああ……シーザー…………ッ」
後悔した。わたしはあの男の言う通り、結局後悔してしまった。彼の後を追いたくても、この手紙を読んだ後じゃあダメだった。そんなことしたらシーザーが悲しむとわかっているのだから尚更だ。
「ようやく貴方の死に向き合えたと思ったのに……駄目ね。わたし、涙が止まらないわ……」
涙が一粒、また一粒と手紙の上に落ちていき、文字が滲んで読めなくなっていく。それでも涙は止まらなくて、女を泣かせるなんて酷いひとだわ、とわたしは呟いた。
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とある決闘者(プロフ) - リルスさん» 感想ありがとうございます。キュンキュンしてくださっただなんて……その言葉だけでとても頑張れます。改めてありがとうございます！ (2017年12月12日 21時) (
レス) id: c74a5c30fb (このIDを非表示/違反報告)
リルス(プロフ) - この作品を見て、久しぶりにジョナサンとディオ様にキュンキュンきた…！更新がんばって下さい！ (2017年12月12日 21時) (携帯から) (レス) id: 5254e9f568 (このIDを非表示/違反報告)
とある決闘者(プロフ) - おバカな傀夢さん» 傀夢さんありがとうございます！ いつもあなた様のコメントに励まされています。是非是非お楽しみください！ (2017年12月11日 22時) (レス) id: c74a5c30fb (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - とある決闘者様の作品はどれも好きなので、この短編集も楽しみに更新を待ちます！更新頑張ってください！応援してます！他の作品も楽しみです！！ (2017年12月11日 17時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とある決闘者 | 作成日時：2017年12月10日 22時
