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Aside
ついに重岡会長に大毅との婚約を話す日になった。
まだみんなにも伝えてなくて、私と大毅しか知らない状態。
いつものように重岡会長のお屋敷に招いていただいて話が始まる。
『そろそろ返事を貰いたいんだが、考えてくれたかな?』
話さなきゃ。
でもいざとなると緊張して、なかなか話し出す事が出来なくて黙ってしまう。
重「俺から話があるんやけど。」
そんな私を見て大毅が切り出してくれた。
一斉にみんなの目が大毅に集まるけど、大毅はそんな事を気にせず私の隣に立った。
重「結婚すんねん、俺ら。」
さらりと言ってのけた大毅と対照的に重岡会長は目が点になっている。後ろにいるみんなの顔は見えないけれど驚いているのはひしひしと伝わってくる。
『何を言ってるんだ?』
重「そのまんまやって。俺らは結婚する。やからAは養子にならへん。」
ほら、なんて言って大毅は私の左手を掴んで会長に見せる。
私の左手の薬指にはちょっと前に大毅が買ってくれた婚約指輪が輝いている。
こんな贅沢な物は要らないって言ったのにそういうのはちゃんとしたいからと言って奮発してプレゼントしてくれたダイヤの婚約指輪はまだ子供の私には不釣り合いだろうか………
『主人と執事の恋愛はあってはならない。それくらいわかるだろ?』
重「そんなん俺がそっちに戻れば関係あらへんやん。」
『昔のライバル会社の社長の娘と結婚なんて周りが認めると思うか?何の利益も生まないこの結婚を。』
重「周りなんて気にしとらんし。」
『お前の人生はお前だけのものじゃない。会社を背負ってるんだ。自覚しろ。』
一向に引く気がない二人はバチバチと向かい合っている。
それを見ている事しか出来ない自分に嫌気がさす。
もう助けられるだけじゃダメだ。
二人で、乗り越えないと。
私は勇気を出してソファから立ち上がって大毅と並んだ。
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作者名:杏樹 | 作成日時:2019年2月15日 17時