片恋（蒙恬） ページ26
私は女の身でありながら楽華隊に所属している。
蒙武軍にいる父によって、それはそれは素晴らしい英才教育を受けた私は見事、武人に育てられた。
元々才はそれなりにあった。
剣術の師をつけ軍師から戦略を学び楽華隊に入隊させたのはやはり父の意向が大きい。
蒙武将軍にそんなにいい顔がしたいか。
若をお守りせよなんて言うけど当然、蒙恬様の方が強い。
その上頭が切れるし無駄のない戦術を見事に描く。
ついて行くには相応しい隊長だと思う。
時々軽いけど。
それに隊の皆も優しく、背中を預けられるほど私も信頼を寄せている。
だから楽華に身を置いていること自体は嫌ではない。
それはそれで良い…いや良くないか。
良い相手が見つかれば武人を続けるのも辞めるのも私の自由という決まりだ。
でも父には分かっていたんだろうな。
剣を持つ女を生涯の伴侶にする男性なんていないことを。
反発の意味を持って素敵な男性を紹介してもらっても、縁談の話があってもことごとく断られた。
僕より強い女性はちょっと…。
なんて言葉はもう聞き飽きた。
周りの女性の生き方といえば、年ごろになったら良い縁談に恵まれ子ができ家族を作る。
自分もそういう人生だと思っていた。
休暇中だった楽華隊に本営から辞令が下った。
黒羊で砦化を進めている飛信隊の持ち場を引き継ぐためだ。
出立する日の直前に急遽お見合いの話が舞い込んできて、私だけ半日遅れの到着となった。
『今しがた到着致しました。融通を利かせて下さってありがとうございました。』
「無事黒羊へようこそ。これで今年に入って二連敗、かな。」
丁寧な言葉とは裏腹に私はむくれ顔だ。
そんな私の顔からお見合いの成否が想像出来た蒙恬様は、待っていましたと言わんばかりの顔。
『蒙恬様、楽しんでますよね。』
「だってもう結果が出たんでしょ。」
あり得ない。
普通は断りを入れるにしても後日、伝えられるはずなのに。
一刻ほど話し込んでからこの話は無かったことに、と面と向かって言うなんて失礼にも程がある。
「もうさ、諦めなよ。ここの居心地だって悪くないでしょ？そりゃ危険と隣り合わせだけどさ。」
『居心地は良い…ですけど、それとこれとは全く意味が違いませんか。』
私の散々な目にあった話をいつも蒙恬様が根掘り葉掘り聞いてくる。
しかも嬉しそうに。
その度に私の心の傷がえぐられているんですけど。
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ずーみん(プロフ) - 春雷さん» 素敵な感想を頂きましてとても嬉しいかぎりです。今書いているものが完成したらまた蒙恬に着手しようと思います！たくさん読んでくださってありがとうございました！ (2021年6月16日 20時) (
レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
春雷(プロフ) - ほんと良いです！切なくなったり、色々と思ってしまいました。どの作品も文章や表現が綺麗で、ファンになりました！これからも楽しみにしています！蒙恬のお話を特にお待ちしております (2021年6月16日 14時) (レス) id: 50c46308fb (このIDを非表示/違反報告)
とも - 毎日楽しみに読ませてもらってます！街で出会ってから一目惚れされて仲良くなって告白されるまでを書いていただきたいです！多いですが王賁と蒙恬と信と政をお願いします！！ (2020年11月27日 7時) (レス) id: 382e67ae5e (このIDを非表示/違反報告)
ずーみん(プロフ) - 凛さん» 凛さん≫お待たせ致しました。ページが一杯になってしまったので、短編集続編の方に載せました。少々サッパリした展開で上手く書けたか分かりかねますが、書いてて楽しかったです、リクエストありがとうございました！ (2020年11月27日 1時) (レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 有難うございます！楽しみにしています！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 61c2aa8520 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プラリネ | 作成日時：2020年9月6日 2時
