政の一目惚れ（リクエスト） ページ6
今日は非常に気候が良い。
政は昌文君に連れられ、咸陽の外れにある桃の名所へお忍びで来ていた。
馬車の中からではあるが、咸陽にいるのなら是非一度は見てほしいとのことだった。
この陽気に誘われ、政は外に目を向けた。
すぐ横を流れる小川に沿ってずっと桃の木々が並びその花が咲いている。
御者の計らいか、馬車の速度は落とされ今しか見られない美しい風景に目を細めた。
「大王様は初めてご覧になりますな。今年も見事に咲きました。」
「名所と聞いていたがこれほどとはな。」
何度かこの光景を見たことのある昌文君でさえ、年に一度の開花は魅力的に映り胸躍る。
二人と同じように多くの民も花に誘われ楽しんでいるようだ。
橋を渡るために馬車はゆっくりと曲がり、中央付近に差し掛かった時、一人の女が政の視界を捉えた。
川にそのまま吸い込まれていきそうな、そんな女だ。
「……！止めてくれ！」
「如何されましたか？」
「ちょっとな、ここで一旦降りるぞ。馬車は橋を渡った付近で待機、後続は先に王宮へ。」
「なりません！もし周囲に大王様だと公になったら…！」
「わかっている。故に単身で行くのだ。」
政がここまで言い出したら最早止められぬと悟った昌文君は、自身も近くで待機することを条件に渋々と承諾した。
政が気になった女は、満開の桃の花が咲くこの名所とは場違いな顔をしている。
周りの華やかな景色と、欄干にもたれて川面を見つめる虚ろな表情との不一致さが相まって背中がゾクリとするほど目が離せない、そんな雰囲気をまとっていた。
そして白いうなじに黒々と艶めいた髪は、
まるで桃の花の色香に誘われるように引き寄せられていった。
「まさか飛び込むのではあるまいな。」
政が声をかけた女は、声の主へゆっくりと顔だけ動かし何も言わず再び川面に顔を戻した。
目を見張るような美女、というわけではないが何とかその声を聞きたい、こちらを向いて目を合わせてほしい。
そしてこの場に似つかわぬ顔をしている訳を聞きたいと政は食い下がった。
「今日は気候が良い。桃の花も咲き誇っている。おまえだけが異なる世にいるようだ。」
『分かりきっていることをいう為にわざわざ下馬をしたのですか、高貴なお方。』
「俺は心の声に従ったまでだ。今声を掛けぬと良心の呵責に苛まれるのではないかと思ってな。」
『それならばお気になさらず、あなた様の気まぐれな心の声とやらとは無縁のことです。』
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ずーみん(プロフ) - いちご飴さん» 慶舎と白麗、大変遅くなりましてごめんなさい！しかも白麗に至っては激甘というわけでもなく…ちょっと心残りなのでリベンジします。リクエストありがとうございました (2021年8月6日 1時) (
レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
天空うさぎ - ずーみんさん» そ、そんなコメントしてるだけなのに私はお礼を言ってもらっていいんですかね(///ω///)♪ (2021年7月23日 10時) (レス) id: f93ac5a74a (このIDを非表示/違反報告)
ずーみん(プロフ) - 天空うさぎさん» いつも読んでくださってありがとうございます！毎度励みになっていますー！ (2021年7月22日 20時) (レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
天空うさぎ - ずーみんさん» 慶舎も読ませていただきました！漫画とは少し違った世界観が素敵な作品でした！もう大好k((殴 (2021年7月22日 12時) (レス) id: f93ac5a74a (このIDを非表示/違反報告)
天空うさぎ - ずーみんさん» ↑名前を変えました。元堕紀です。とても良かったです！やはりずーみん様の作品にははずれがないな……(≧▽≦) (2021年7月11日 11時) (レス) id: f93ac5a74a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プラリネ | 作成日時：2020年11月26日 23時
