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「あの、ほんとに大丈夫なの。
ちょっと悲しい夢を見ただけだから」
JK「夢?」
「そう。だから寝不足なだけだよ」
彼に心配をかけてはいけないとそう説明する。
JK「……どんな夢見たの?」
「え、あの、あんまり覚えてなくて…」
さっきの優しい表情は消えていて、ジョングクはすごく真剣な顔をしていた。
それに疑問と違和感を覚えながらも覚えていない、そう嘘をつく。
だって、話しても信じてもらえるか分からない。
それに誰かに話して解決することじゃない。
そう思ったから。
JK「…そっか」
「うん。落ち込んでるとかじゃないから」
JK「ヌナが落ち込んでるわけじゃないならそれでいいんだけど」
ジョングクはそれ以上何も言ってくることはなかった。
「…そろそろ車戻る?」
なんだかこの空気に耐えられなくてベンチから立ち上がる。
すると、
JK「…ヌナ」
ベンチに座ったままのジョングクが、私の手を掴んで引きとめた。
「…どうしたの?」
彼のその表情を見ていると、きっと私に何か言いたいことがあるんだと思った。
言おうか、言うまいか。
迷っているのが伝わってくる。
一体どれぐらいの時間が経っただろう。
彼は何も言わないまま私を見つめて。
そして私も何も言えずに彼を見つめた。
JK「…ごめんなさい、なんでもないです。
そろそろ車戻りましょうか」
少し経って、何もなかったかのようにいつもの笑顔を見せて立ち上がるジョングク。
私も思うことはたくさんあったけれど、そんなジョングクに結局何も言えなかった。
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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年3月31日 19時