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「ジョングクどこに行くの？」
JK「水を取りに行くだけですよ」
「あ…ごめん」
JK「ううん、すぐ戻りますから」
私の髪をさらりと一度撫でるジョングク。
立ち上がって私の部屋から出ていこうとするジョングクに思わず不安になって声をかけた。
私が他国に嫁ぐと決まったあの日から、私は彼とひと時でも離れるのが怖くなった。
だって私たちに残された時間はあと少し。
本当に限られた時間しかなかった。
一瞬でも多くの時間ジョングクの側にいて、彼を嫌というほど感じていたかった。
離れてしまってもその全てを思い出せるように。
これから先一生忘れないように。
JK「姫様ごめんね。そろそろ寝ます？」
帰ってきたジョングクは取ってきてくれた水を私に渡してそう尋ねる。
「うん、そうだね」
私の返事を聞くと、ジョングクはベッドにすぐに寝れるように毛布を整えてくれる。
いそいそとベッドに入る私のあとに続いてジョングクも私の隣に横になってくれた。
私の部屋で彼と一緒に寝る。
これは今までにも何度かあったけれどそういうことをするのは少し気恥ずかしさもあって、今まではそんなに頻度が高いものではなかった。
けれど今の私は、彼が隣にいないと眠ることさえもできない。
私こんな状態できちんと嫁いでいけるんだろうか…
そんな自分に思わず呆れた笑いがでたあと、ジョングクと離れなきゃいけない未来が浮かんできて、また性懲りもなく涙が溢れてきそうになる。
…ダメだ、泣いちゃダメ。
ジョングクにこれ以上心配かけたらダメだ。
必死に涙を堪える。
JK「姫様、おいで」
けれどジョングクには何でもお見通しで。
その程よい筋肉質な腕を広げると、彼は私の身体をその胸の中にそっと抱き寄せた。
彼の温もりと、一定のリズムの心臓の鼓音。私を抱きしめながら髪を撫でてくれる私より2回り大きなその優しい手。
その全てが愛おしくて。
この世のなによりも大切で。
目の縁で必死に堪えていたはずの涙は、どうしようもないぐらいにあふれてしまう。
それを誤魔化すように彼の胸の中に深く潜り込む。
そしてそんな私に気づいているであろうジョングクは何も言わずに、私をもっと強く、優しく抱きしめてくれた。
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作者名：ナノカ
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年3月31日 19時
