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「おばちゃん、ソジュもう一本」









威勢よく手を挙げてソジュをおかわりする寡黙な(はずの)上司と笑顔であいよと応える恰幅のいい店主のおばさん。









そして、目の前でジュージューと音を立てて焼けている美味しそうなお肉。









一体何が起こっているのだろうか。









「ほら食え」

『え、あ、はい』









ユンギ先輩によって小皿に取り分けられたお肉をおそるおそる摘んで口に運ぶ。









もぐもぐと咀嚼しながら彼の顔色を伺うと、美味い?とでも言うように眉を上げるのでこくこくと小さく頷いた。









「どんどん食えよー奢らねぇけどー」

『えっ、割り勘ですか?』

「トーゼン。俺の給料がお前の脂肪に消えてたまるか」

『鬼…』









私には目の前に座るこのやたら細い上司のことが理解できない。









天地がひっくり返ったとしても、普段後輩を飲みに誘うなんてしないようなユンギ先輩が、あろうことかこの私を焼肉に誘ったのだ。









誘われたというよりほぼ強引に連れてこられたわけだが、まともに会話もせずに食事をしているだけなので彼の意図が全くもって掴めない。









どこか居心地の悪さを感じながらソジュの入った小さなグラスにちびちびと口を付けていると、ふいに名前を呼ばれてユンギ先輩と目が合った。









「あのさ…俺にしてみない?」

『ぶっ』









あまりの衝撃にソジュをテーブルに吹きこぼしてしまい、慌ててテーブルを拭きながら彼を見る。









『な、なな何言ってるんですか!?』

「うん…まあ、冗談なんだけど」

『は!?』









ユンギ先輩は私の反応を見て腹を抱えて笑い出す。









ユンギ先輩が笑う姿を見るのは初めてではないけれど、声が出なくなるまで大笑いしているのを見るのは初めてでちょっと驚く。と同時にムカつく。









『そういう冗談ってよくないですよ』

「悪かったって。でもちょっとくらい元気出たでしょ」

『え?』

「何に悩んでるのかはよく知らないけど、まあ、なんだ…Aが前に進める道を選べばいいと思うよ」

『……ユンギ先輩』

「何」

『柄じゃなさすぎます』

「うっさい」

『…でも、ありがとうございます』

「…ん」









私が前に進める道。









その先にテヒョンの姿はあるのだろうか。









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のあ - とてもおもしろいです、続き待ってます! (2019年9月11日 7時) (レス) id: 87b0b31a0f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - すごく面白い展開になってて続きが楽しみです! これからも読ませていただきます!! (2019年7月25日 17時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - とてもお気に入りです!! 迷惑かもしれませんが続きお願いします! (2019年7月20日 19時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
たまたま - 三角関係ぽい小説、今まであまり好きじゃなかったけど、このお話は凄く続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年7月17日 21時) (レス) id: 11b0bd599c (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 主人公ちゃん、自惚れちゃっていいんですよね!!!!!?テヒョン、、頑張れ!! (2019年7月17日 8時) (レス) id: d2b1c04faa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kasu | 作成日時:2019年6月30日 17時

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