３３ ページ33
「…では、契約成立ということで」
「あ、ありがとうございます！」
ナムジュンさんが差し出した手をジンさんが強く握る。
だいぶ不格好な形だったが、なんとか首の皮一枚繋がったジンさんと私たちはお互いに顔を見合わせて喜びを分かち合った。
『やりましたねジンさん！』
「Aたちが資料作成がんばってくれたおかげだよ。ありがとう」
『いえいえ！ジンさんのおかげですよ』
「ヤー照れるだろ」
そんな私たちのところへ、やけに柔和な笑みを浮かべたテヒョンがやってきた。
「皆さんお疲れ様です」
「お疲れ様です。えっと、あなたはキムテヒョンさん…でしたっけ」
「はい、そうです。もしお時間よろしければ、そちらのAさんをお借りしたいのですが」
「ああ、も、もちろんです。な！」
『えっ！？』
ジンさんに半ば強引に背中を押され、テヒョンと目が合う。
やはりその目は笑っていない。
その表情から、おそらくこれからされるであろう話の内容は、このあと食事でもどうかというような薄っぺらいものではないことは容易に想像できた。
テヒョンは私の手を掴み、会議室を出ていく。
しばらく歩いたところで人気のない廊下に突き当たると、そこで彼はようやく手を離した。
『テヒョン？』
おそるおそるその背中に声を掛けると、彼はあからさまに不機嫌な様子でこちらを振り返った。
「ねえどういうこと」
『どういうことって何が…？』
「さっきのあれ」
『あ…あれは、私たちが付き合ってるって言って変な空気になるのが嫌だったから』
「違う。そのことじゃなくて」
テヒョンの表情がまた険しくなる。
「ジョングクとどういう関係？」
『え？』
予想していなかった人の名前に動揺した。
なぜ今ジョングクの話になるの？
テヒョンは何をどこまで知っているの？
混乱した頭でなんとか捻り出したのは、それはそれは醜い言い訳だった。
『ジ…ジョングクくんはただの後輩だよ。普段あんまり喋らないし…』
ああ、最低だ。私は何を言っているんだろう。
このまま何もかもなかったことにできるわけないのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2906人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のあ - とてもおもしろいです、続き待ってます！ (2019年9月11日 7時) (
レス) id: 87b0b31a0f (このIDを非表示/違反報告)
ミア - すごく面白い展開になってて続きが楽しみです! これからも読ませていただきます!! (2019年7月25日 17時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - とてもお気に入りです!! 迷惑かもしれませんが続きお願いします! (2019年7月20日 19時) (レス) id: 73144b7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
たまたま - 三角関係ぽい小説、今まであまり好きじゃなかったけど、このお話は凄く続きが気になります！更新頑張ってください！ (2019年7月17日 21時) (レス) id: 11b0bd599c (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 主人公ちゃん、自惚れちゃっていいんですよね！！！！！？テヒョン、、頑張れ！！ (2019年7月17日 8時) (レス) id: d2b1c04faa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kasu
| 作成日時：2019年6月30日 17時
