7. 先生 ページ7
次の日、なぜあんな手紙が届いたのか誰かにこの力がバレてしまったのかと、モヤモヤした気持ちを抱えながらいつもと同じように学校へ行き、いつもと同じように授業を受けた。
その帰り道
「君が石井智?」
人気の少ない道端でなんとも胡散臭い男性に声をかけられた。
「違いますけど」
関わってはいけないと直感的に感じ咄嗟に否定するが、男はニヤリと笑って
「嘘だね、俺知ってるもん」
と返してきた。
「…何ですか?」
観念して用件を尋ねると
「何で昨日駅に来なかったの?」
と衝撃的な答えが返ってきた。
「何でって顔してるね〜、でも君が昨日来なかったからしょうがなく僕が会いに来たんだからそんな顔しないでよね〜」
「…あんた誰?」
と尋ねると男は
「おっ!いい質問!俺はね〜君の先生?かな」
そう言ってニヤリと笑う。
「…はい?何言ってんの?」
「別に誤魔化してないよ。本当の事、俺は君が昨日行くはずだった暁学園の教師」
「…悪戯じゃなかった?…」
「何?悪戯の手紙だと思ってたの?」
そう聞かれ僕はこくりとうなづく。
「じゃあ話は早い。暁学園は本当に存在する学校。だから行こっか?」
「はい?」
話が理解出来ない。悪戯じゃないとしても気味が悪いことに変わりはない。
「だーかーらー学校!行くよ!あの手紙が届いた人に行かないっていう選択肢はないの!」
学校は本当に存在するらしいがまだ信じられない。
「じゃあ…あなたも異能使えんの?」
「使えるよ。信じられない?」
僕がうなづくと
「しょうがないなーちょっとだけね」
そう言ったその人の手には水の球が浮いていた。
「…本物?…」
「本物、これで信じられた?」
これを見て、僕と同じ異能という力を本当に持っている人が俺の他にもいる事は分かった。おそらく学校も存在しているんだろう。
「いや…でも…親知らないし、今行ってる学校もあるしそんなこと言われても…」
「それは大丈夫。今君が通ってる学校は国からすぐ転校の手続きがされる。親御さんには話せばわかってもらえるよ」
いとも簡単そうに言うが親は僕が異能を持ってる事を知らない。信じてもらえるばずがない。
…それに僕の意見は無視かよ!
誰も行くとは言ってない…意味がわからないんだよ!
思わず口からこのまま出てきそうになる。
だってあまりにいきなりで理不尽じゃない?
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作者名:紀衣 | 作成日時:2021年1月11日 21時