Ability I (ページ5)

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　５. 始まり（回想）ページ5

智(10～12歳)side

智が暮らしているのは魔法の世界でも何でもない普通の世界、この能力に気付いたのは初めて夢を見てから何年かたった、10歳の時。

あの夢を見て熱を出し、寝ていた時に急にドクッと全身に血が巡り気が付けば指先に火と水が混ざり合った物を出現させていた。

ボンッ！

何が起こったか理解する前に爆発させてしまったが、幸い、小さな爆発で済みどうにもならなかった。何事もなかった事にほっとしつつも何が起こったか理解出来なかった。

その後、しばらく怖くて試そうとも思わなかったし、半分ぐらい忘れていたが、ある日ふっと思い出し、どうせ夢だろうから試して見ようと思い、なんとなく指先に意識を集中させるとふっとこの前と同じ物が現れる。

夢じゃなかった事に驚き、どうすることも出来ず再び爆発させてしまった。爆発でそばにあった紙が飛んでいくのを見て初めてこれは夢じゃなくて現実だと思い知った。

それから先は風呂場でしかやらない事に決めた。
こんな事が出来ると誰かにバレたら確実に変人扱いだ。

なるべく周りから見えない場所で、火が出ようが水が出ようがどうにかなる場所は風呂場ぐらいしか思いつかなかった。

この力を一切使わないと言う事も考えたがせっかくある能力だし、何かあった時に自分で制御出来ずに暴走させるわけにはいかないと思い少しずつ練習することにした。

初めは火と水を別々に出すことから初め、毎日放課後父さんと母さんが帰ってくるまでの間練習するようになり今のように操る事が出来るようになった。

何度も風呂場で爆発させかけたし、物も燃やしかけたが暴走させないだけのコントロール力は身につけたつもりだ。

だが12歳の時、上手く使いこなせるようになればなるほどこの力に対しての疑問や恐ろしさを感じるようになった。

・自分はなぜこの能力を持っているのか
・あの夢と関係があるのか

そして今の自分の力を最大限に使えば軽く家が一軒飛ぶレベルの爆発を起こせるし、水の弾丸を人に向ければ使えば恐らく致命傷は免れないだろう。

この能力を使って事件を起こすつもりなんてなかったけど、自分が思っている以上の力を出せる事に気づき恐ろしくなっていた。

それからは力を何があっても周りに危険を及ぼさないようもっと正確に操るための練習に全力で向き合った。