Ability I (ページ19)

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１９. 模擬戦ページ19

その後はほとんど眠ることなく朝を迎えた。なんとか起きてみたが身体が尋常じゃないくらい怠い。寝不足か夢のせいか…両方か…

とりあえず、授業に間に合うようになんとか教室に行って1時間目を受けたが、余りの怠さに頭に何も入ってこなかったので今日はもう授業は諦め、2時間目からは授業をさぼってあの場所へ行くことにした。

ハンモックに寝転がると、心地の良い風が吹いていてとても気持ちが良い。あっという間に眠りについていた。

目が覚めた時には夕方で怠さもだいぶ抜けていた。

…

次の日、いきなり先生から模擬戦をやると聞かされ体育館へ移動する。

「えーっと、今から模擬戦をやる。トーナメント戦で相手を戦闘不能にしたら負け。だが、相手に大怪我はさせないように。じゃあ始めようか！」

体育館を半分に割って先生が張ってくれた結界の中で戦う。武器を使ってもいいし異能だけでもいいらしい。

僕は第一試合だったのでコートに出た。相手は見たことはあるけど、よくは知らない男の子。初めての実戦形式で皆んながどんな風に戦うのか見当がつかないのでとりあえず先制攻撃を待つ。

すると、相手は火属性のようで大きな炎を出しこちらに向かってきた。僕はそれをひらりと躱すと相手の足元に向かって水の弾を撃ち出した。相手は体制を崩したが倒れることなく今度はスピードを重視した火の玉を連続して撃ってくる。

僕はそれを水の玉で相殺しながら相手に近づいていき攻撃に夢中になっていた相手を大きな水の玉に閉じ込めた。

息が出来ない相手は必死に玉から出ようとするが玉をコントロールすることは小さい頃からひたすらコントロール力を磨いてきた僕にとっては簡単なことで相手を逃すことなくそのまま気絶させた。

そのあとも2試合、連続して勝てたが決勝で岡田君に負けた。ちょっと油断した瞬間に銃口をピタリと頭に当てられてしまったのだ。

「強いね、岡田君」

「岡田で良いよ。そんなことない、石井も十分強かった。何回も負けるかもって思ったし」

「ほんと？なら嬉しいな」

そう言って僕が笑うと

「お前、戦ってる時と全然雰囲気変わるんだな」

「そう？」

「あぁ、戦ってる時と同じ人じゃないみたい」

「それ褒めてるの？」

「うん」

余りにも岡田が真面目な顔で頷くので、思わず吹き出してしまった。

「なんなんだよお前」

「ごめん、何か面白かった」

　
「はぁ？」

そして、2人で顔を見合わせて笑い合う。