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第二十九話 ページ31

授業に遅れることはなく、無事に受けることができた。
今後はああいった呼び出しが増えるのだろうか、と考えると頭が痛くなってくる。私にはそこまでの余裕はないのに、勘弁してほしい。
終わりの号令をかけて、そそくさと道具を持って自分の教室に向かう。勿論一人だ。

すぐ後ろからは、エリザとアピア様と、アレン様の楽し気な会話が聞こえてくる。ふふ、と控えめだったけれど、アレン様の笑い声が聞こえて足が止まりそうになった。
気にしたらいけないと、私の歩く速度はあがっていく。その場から早く去りたかった。彼女らの話声を聞きたくなかった。

最近気になりだした寂しさに、心が占められていくのが嫌だったから。


「はぁ……」


弱くなったと自分でも思う。前まではそんなことなかったのだ。アレン様が話しかけてこないことも、周りが私を良くない視線で見てることも、私が一人なことも当たり前だったし、私も私で、開き直ってしまったところもあるから。だけど、何故だろう。今更私は、孤独の寂しさを感じ始めていた。
それはさっきみたいな、私の知ってる人物が私の知らない顔で話しているからだろうか。私を心配してくれていた人に、冷たい視線を浴びせられたからだろうか。今までにないことが起こり始めたからか。
どれも合っているように思えた。私が環境の変化についていけていないのも原因なような気がした。

あれだけ孤独を選んだのに。今更何故それを寂しいと思ってるんだろう。自分でやっていることが馬鹿らしくて、短く笑う声を漏らした。その声はどこにもいかないで消えていった。

放課後になって、生徒会室にいって、この間のパーティの反省会をした。といっても大成功だったのは誰の目にも明らかで、来年はもっと盛り上げよう、と二年生の先輩たちが盛り上がっていた。三年生の先輩たちはそれを嬉しそうに眺めていた。
そうか、もう三年生は引退の時期か。4月から私達を導いてくれた人は、もういなくなるのか。置いていかれる寂しさにはもう慣れてしまったからか、その事実はすとんと心に落ち着いた。

学園は変わろうとしていた。その変化は、私のこれからを決定づける大きなものだった。

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ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真冬 | 作成日時:2018年1月19日 23時

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