第十五話 ページ17
机の中に入っていた、暴言ばかりの手紙を捨てた。
エリザに対する嫌がらせが終わったわけじゃない。でも、私に対する嫌がらせは始まった。
誰が何を思ってしているのかなんて、考えない。だって、家族が何故私に冷たい態度をとるのかもわからないのに、急に出てきた人のことを考えるなんて無理だわ。
手紙を入れるのは、恐らく私が教室を去った後だ。だって私は一番最初に教室に入れるように登校しているのだから。相当早く来て手紙を入れ、一度帰るなんて手間をかけないかぎり、そうと考えるのが妥当だろう。
エリザの手紙も、恐らく同様のやり方で入っているはずだ。アレン様と一緒に登校しなくなってから、朝に彼女の机の中を見てみたら入っていたから。
「……はぁ、疲れますわね」
私にはこんな"お遊び"に付き合っている暇はないというのに。
勉強にお稽古に委員会に、それに嫌がらせの対策を考えるなんてできない。私は要領がいい方ではないし、今までだってギリギリだった。せめて私が勉強のできる天才だったらよかったのだが、そういう能力的なものはお兄様たちが持って行ってしまった。あるいは、お母様方が私に残していかなかった。
あるいは、私にその能力を受け止められるほどの器がなかった。
暗い思考に嵌っていきそうでかぶりを振る。最近はこんな事を考えるのが多くなってしまった。
エリザとご友人と、……アレン様が教室に入ってきた。
「御機嫌よう、皆様。今日も仲がよろしいのね」
皮肉めいたことを話せば、ご友人とアレン様がこちらを睨む。家とは違うけれど、ああいやお母様はあんな風に私を見ていた。
エリザは普通に、自然な流れでご挨拶を返してくれた。
貴方に嫌がらせをしているのは、私かもしれないのよ？
言いたくなった言葉を無理矢理飲み込む。これじゃあ、自分の罪を認めない強情な人だと思われてしまう。それは嫌だ。
今日も冷たい一日が始まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (
レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真冬 | 作成日時：2018年1月19日 23時
