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ピンポーン
チャイムの音で、朦朧としていた意識が一気に現実へと引き戻された。
危ない…。もう少しで寝るところだった。
タイミング良く鳴ったチャイムに感謝しつつ、お迎えだなと立ち上がる。
チカチカと来客を知らせるインターホンを通り過ぎ、玄関扉の前で立ち止まった。
カチャッと鍵を開け、ドアを押す。
『あ、おはようございます。ガッチさん。』
ガッチ「おはよう。いや、ごめんね〜、急に。」
ガッチさんことガッチマンさんはそう言って、申し訳なさそうに笑う。
ガッチさんはキヨと同じ、怪盗対策課の警察官で、私も仲良くさせてもらっている。
『いえいえ。こちらこそ従兄がすいません。』
自分で言い出したことなのだから、迎えくらい自分でやればいいのに…。
ガッチ「別に大丈夫だよ。じゃ、早速で悪いんだけど、行こうか。」
『はい。』
私は外に出て、鍵をかける。
そして、一緒にエレベーターへと向かった。
ガッチ「そういえば、Aちゃん。今日のニュース見た?」
ボタンを押して、エレベーターを待ちながら、ガッチさんが話しかけてくる。
『あ、いえ。朝のニュースは見てないです。』
遅くまで起きていたせいで、ついさっきまで寝てしまっていた。ニュースなんて、とてもじゃないが、見れない。
ガッチ「そうなの?…実はね、また新しく怪盗wrwrd!から予告状がきたんだ。」
『え!?…な、なんてきたんですか?』
世間に失敗したと思われるのは癪、そうグルッペンは言っていた。
だから一週間後のことも、わざわざ予告状を出さずに来ると思っていたが…。
やっぱり怪盗としてのプライド、というものがあるのだろうか?内容は大体分かるが、それをどう表現しているか興味がある。
ガッチ「えーっと…〈今回は少し、想定外のことが起きた。一週間後の夜、必ずその女性を盗み出す。〉ってあったと思う。でも実際に女性盗まれちゃってるから、意味がよく分からないんだよね。」
『どういうこと…でしょうね。』
私はギュッと手を握り締める。
ガッチ「あ、来た。乗って、Aちゃん。」
促され、私はエレベーターの中へと入る。ガッチさんもそれに、続いた。
…ガッチさんは何も感じなかったのだろう。いや、きっと私以外、誰も理解できない。
これは予告状なんかじゃない。
私への…宣戦布告。
いいだろう。全面的に戦って、勝ってやる。
チーンと音がして、扉が閉まる。
そんな音が私には、戦争の開始を知らせる合図に聞こえた。
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こすもす姫 - 志麻セン寄りのcrewさん» 一気にお読みになられたのですか!?スゴいですね!面白いだなんて…ありがとうございます!!続編…少々お待ちを。 (2019年6月8日 11時) (レス) id: 05a24f2a78 (このIDを非表示/違反報告)
志麻セン寄りのcrew - とっても面白いので一気に読んでしまいました!続編心から待ってます!(?)更新頑張ってください! (2019年6月7日 22時) (レス) id: e4b55a25ee (このIDを非表示/違反報告)
こすもす姫 - ぐとさん» お優しいお言葉!!!嬉しいですありがとうございます。無理しない程度、ですね!了解です!お心遣い感謝いたします!代わりといっては何ですが、コメント返しは24時間経つ前に確実にいたしますので…! (2019年5月31日 20時) (レス) id: 05a24f2a78 (このIDを非表示/違反報告)
ぐと(プロフ) - 大丈夫ですよ!此方は見させてもらっている身ですし、何より気侭にやって行って欲しいなと思っていたので!無理は禁物!です! (2019年5月31日 12時) (レス) id: 8d62b8c277 (このIDを非表示/違反報告)
こすもす姫 - 珈琲まめさん» ワアアアイ!!!!何時もありがとうございます!!!!赤いマフラーの彼、ですか…。んふふ、なんと言ったんでしょうね?ふふふふふ…。 (2019年5月9日 18時) (レス) id: 05a24f2a78 (このIDを非表示/違反報告)
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