【金カム】地獄の果てで会いましょう【尾形】 (ページ45)

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本当のチタタプ 2 ページ45

「インカラマッさんって言ったかね、あんたいい人いるのかい？」

突然話を振られた彼女は、反応に困ったような表情を浮かべた。それを見て、谷垣さんとインカラマッさんを見比べたチカパシくんが、谷垣さんがたべているお椀を取り上げる。そして、それをインカラマッさんの目の前に持ってくると、「本当の家族になれば？」と提案した。

アイヌでは、女が男の家に行ってご飯を作り、男は半分食べた器を女に渡し、女が残りを食べたら婚姻が成立するのだとアシリパさんが答えた。
すると、インカラマさんは驚いた表情をしたあと、顔を赤くして、恥ずかしそうに俯いたまま黙り込んでしまう。

「……チカパシ、返しなさい」

谷垣さんは、チカパシくんからお椀を取り返すと、手元に置いてチセから出ていってしまった。インカラマッさんはそれを見て、谷垣さんを追いかける。

「おっと……まだ微妙な関係だったか」

牛山さんが場の空気に気を使うように、ぽつりと呟く。
私には、彼らがどういう関係でこれからどうなっていくのかわからないけれど、二人が幸せになってくれたらいいなと思う。

食事を終えると、「そういえば今更だから聞いたことがなかったが」と牛山さんが私の方を見た。

「お嬢はなんでこの金塊争奪戦に参加してるんだい？」

私にとっては想定内の質問だったが、周りは違うらしく、みんな興味深げにこちらを見る。私は少し迷ったが、正直に打ち明けることにした。

「失踪した父親の手がかりを探しに来たんです。私の父は、開拓使の役人をしていたのですが、ある日を境にパタリと連絡が来なくなりました……。それで、父は何かに巻き込まれていると思いました。調べていくうちに、金塊の噂を耳にしました。もしそれに父が関わっているのなら、何か手がかりがあるかもしれない。そう思って参加した次第です……」

そこまで話すと、みんなの顔を見ると、みんな真剣な眼差しで私を見ていた。