【金カム】地獄の果てで会いましょう【尾形】 (ページ42)

今日:23 hit、昨日:34 hit、合計:52,153 hit

網走監獄へページ42

彼は無言で撮影台に立つと、私も隣に並ぶように言われた。カメラのレンズを見ると、なんとも言えない気持ちになった。きっと、こんな風に誰かと一緒に並んで写真を撮ったことなどないからであろう。
緊張しながらも、なんとか撮影を終える。出来上がった写真を渡され、見て見るとそこには仏頂面の尾形さんとぎこちない笑顔の私が映っていた。

「間抜けな面だな」

そう言って鼻で笑いながら、尾形さんは私の手にある写真を取ろうとしてくる。
それを阻止しようとするが、あっさり奪われてしまう。

「あっ！ちょっと……」

奪い返そうと手を伸ばしたが、彼は私から奪った写真を懐に入れてしまった。

「…いらないんじゃなかったんですか」
「お前こそ、自分の顔を見るのが嫌なんだろ。それなのに欲しいのか？」

そう言われてしまえば何も言い返すことができない。結局、写真は尾形さんの物になってしまった。

北見から北東へ向かえば、網走だ。

私達は網走監獄の堀の近くにトンネルを掘り、その上からアイヌの仮小屋を建て、鮭漁を装う。この時期にしかできない計画だと、脱獄王である白石さんは言う。しかし、ここで問題が起きた。

網走監獄の看守に見つかったのだ。

いざとなったら杉元さんが殺そうと鍬を構えるが、谷垣さんが機転を利かせ、なんとかバレずに済んだ。その様なトラブルもありながらも、なんとかトンネルを掘り終えることに成功した。
トンネルの先はなんと、初日に声をかけてきた門倉看守部長の宿舎だったそうで、彼は土方さんと内通していたらしい。ひとまず、これで潜入のための準備は整った。あとは、時期を見て、潜入するだけだ。