【金カム】地獄の果てで会いましょう【尾形】 (ページ37)

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盲目の盗賊 3 ページ37

私に利用価値なんてあるはずもない。ただ、あるとすれば………。

問題は、彼がどこまで鶴見中尉から情報を引き出しているかだ。

そんなことを思いながら、ぼーっと空を見つめて考え事をしていたせいか、のぼせてきた。そろそろあがろう、と考えて脱衣所へ向かう。しばらくすると、どこからか奇妙な音が鳴ったあと、複数の足音が聞こえてきた。

「なんだお前ら！」
「その恐ろしい形の棒をどう使う気だ！？」

男湯のほうから、谷垣さんと杉元さんの声が聞こえた。何かあったんだろうか？

そう思っていると、突然「動くな」と背後から男の声が聞こえ、脱衣所の灯りが壊される。そして、何者かに口を塞がれ、羽交締めにされた。暗くて何も見えないが、男のようだ。私が抵抗しようとすると、男は私の首筋に冷たいものがあてられた。恐らく、ナイフだ。

「静かにしろ。叫べば殺すぞ」

耳元で囁かれた言葉は冷たく、ゾッとするものだった。いつもの頼れる人は周りには誰もいない。どうにかこの場を一人で切り抜けなければ。きっと男湯のほうはどうなんだろう。

幸い、女だからと侮っているようで、男一人しかいない。

私は、自分の口に当てられた手を噛んでやった。痛かったのか、男が怯んだ隙を見て、一気に振りほどく。
そのまま、男と距離を取るが、暗がりでよく見えない。そうしているうちに、今度は首を絞められ、壁に叩きつけられる。

意識が飛びそうになるのを堪え、必死に抵抗するも、敵うわけもなく力負けしてしまう。このままでは殺されると思った時だった。

手元に固いものが当たる感触があった。それがなんなのか確かめようと手を伸ばすと、指先が硬いものに触れた。
だんだん意識が薄れてくる。このままでは意識を失ってしまう。咄嗟にそれで相手の首を殴ると、ゔっとうめき声をあげて相手は気絶したようだった。

アシリパさんとインカラマッさんも危ないかもしれない。

一度、宿の部屋へ戻ることにした。しかし、首を締められたからなのか、足取りもおぼつかない。なんとか部屋に戻ると、インカラマッさんとアシリパさんがいなかった。まさか、外へ出たのだろうか。

その矢先、銃声が聞こえた。もしかして、さっきの男といい、盗賊たちだろうか。
灯りを持つべきかなやんだが、暗がりで危ないが、灯りを持つと真っ先に狙われるかもしれない。とりあえず銃を持って、誰かを探しに行こう。
そう思い、私は森の方へ足を向けた。