【金カム】地獄の果てで会いましょう【尾形】 (ページ28)

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さよなら姉畑先生 5 ページ28

「臭くないか？」
「大丈夫ですよ」
「よかった！ありがとう！」

屈託のない笑顔を見せる彼女につられ、思わず笑みがこぼれる。アシリパさんは私の隣にいた尾形さんにも同じように「臭くないか？」と手の匂いを確かめさせていた。

手といえば昨日できた傷はもう瘡蓋になっているだろうか。私は自分の手に鼻を寄せてみた。まだ痛みはあるが、大したことはないし血の臭いもしない。大丈夫そうだ。

そんなことを考えていると、ふと尾形さんから視線を感じた。そこでふと私の中にある悪戯心が思い浮かぶ。先程、アシリパさんの手の匂いを猫のように嗅いでいたのだから、尾形さんの目の前に手をかざせばどんな反応をするのか気になってしまったのだ。

そして、その好奇心が抑えられなくなった結果、私は彼の顔の前に手を近づけた。すると、彼はスンスンと手の匂いを嗅いだかと思うと、ガシっと手首を掴んでくる。
驚いていると、彼は私の指を口に含んだ。
突然の出来事に固まる私を他所に、ちゅぱ、という音が響く。

「お、おがたさ、ひゃっ」

制止しようと口を開くも、上手く言葉にならない。
しかし彼は私の言葉を遮るようにして、今度は手首に吸い付いてきた。
生暖かい感触が肌の上を這う感覚に、背筋がぞくりと震える。

「おいクソ尾形！テメェなにしてんだ、やめろッ！！」

杉元さんが叫んだ。
そしてようやく解放された頃には、私はすっかり腰砕けになっていた。
息を荒げる私に、尾形さんは何食わぬ顔をして、どこかを見つめている。
その視線の先を見ようとしたが、それよりも先にみんなに見られていることに気付き、慌てて立ち上がって外に出た。

恥ずかしさで死にそうになった。穴があったら入りたい。むしろ自分で掘って埋まりたかった。しばらく顔の熱が収まるまで、外で涼んでいたのだった。