【金カム】地獄の果てで会いましょう【尾形】 (ページ26)

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さよなら姉畑先生 3 ページ26

その正体はヒグマで、何かから抵抗するように走っている。その何か、はよく見ると下半身丸出しの人間だった。あまりの衝撃に一瞬思考停止しかける。
尾形さんも「なんてこった」と呟いている。

私達を追ってきていた村の人たちも呆然としていた。

キラウシさんも同様だったが、転んでいる私を目にして我にかえり、彼は私の元へ駆け寄ってくれた。
私は慌てて立ち上がろうとしたが、右足首を捻ってしまったらしく、うまく立てない。
そんな私の様子を見かねたキラウシさんは私を抱きかかえるようにして立たせてくれた。

「大丈夫か？すまなかった、怪我をさせるつもりはなかったんだ」
「だ、だいじょうぶ……です」
「無理をするな。ほら、肩を貸すよ」
「ありがとうございます」

何とか立ち上がることはできたが、やはり足首に痛みがある。

「痛むか？」
「いえ…これくらいなら、大丈夫です。軽い捻挫だと思います」

すると、キラウシさんは何を思ったのか、突然私の膝裏に手を回し、抱き上げた。視界が突然高くなり、驚く。

「き、キラウシさん？！」

思わず叫ぶと、彼は淡々と「この方が移動しやすいから」と答えた。
どうやら私を運んでくれるらしい。
私は申し訳なさを感じつつも、彼に甘えることにした。

ヒグマの後ろにいた男は、どうやらあれが姉畑だったらしい。あとから聞いた話では、杉元さんがヒグマを退治してくれたそうだ。

これで谷垣さんが無実であることが証明された。私の怪我も、大したことはなかったようで軽い捻挫で一安心した。

アシリパさんには怒られてしまったが、ソコニ(エゾニワトコ)という実の芯を塗ってくれた。捻挫に効く草だそうで、2、3日すれば治るそうだ。