【金カム】地獄の果てで会いましょう【尾形】 (ページ17)

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故郷 2 ページ17

「おい。起きろ、泣き虫」

目を開ければ、そこには尾形さんがいた。
いつの間にか眠っていたらしい。辺りを見渡すと、自分が鹿の中にいたことを思い出した。

「あまり動くな。外にヒグマがいる」

どうやら、外にヒグマがいるらしい。
大人しく、頷く。尾形さんはしばらく外を見ていたが、ゆっくりと周りを警戒しながら鹿の中から出た。それに習い、私も外に出る。

アシリパさんと杉元さんはすでに起きていたようだが、白石さんが見当たらない。
白石さんが入っているであろう鹿を見ると、ちょうど鹿の股の間から白石さんが出てきた。
このあまりにもの光景に熊たちも驚いたのか、怯んでいる。その隙間になんとか逃げ出すことに成功した。

残念だが、鹿の肉は、諦めて南へと向かうことになった。

道中、銃声で位置がバレてしまうため、アシリパさんお手製の罠で鼠を捕りながら下山した。しかし、下山するにつれ、捕れる鼠の量も減ってきている。
毛を焼いて、準備していると、尾形さんがみんなの輪から外れたところで森を眺めていた。

「少ないけど尾形も食べろ」

そんな様子の尾形さんに、アシリパさんが鼠を渡す。「ヒンナは？」と尋ねられていたが、尾形さんは無視をした。

「尾形はいつになったらヒンナできるのかな？好きな食べ物ならヒンナできるか？」

アシリパさんはシパシパと笑いながら尾形さんに詰め寄った。

「尾形の好物はなんだ？」
「……」

これにも無反応。相変わらず表情が読めないが、よく見てみるとどこか遠い目をしていた。何か考え事でもあるんだろうか。